世の中にはたくさんの商品やサービスがあり、すでに飽和状態と言われている市場も多いのが現状です。そんな中、売上を伸ばすために考えて欲しいのが、「自社だからこそ生み出せる付加価値は何か」ということです。
たとえば、ポイントを貯めると割引になるなど、リピートしていただけるような仕組みづくりもそのひとつ。ノマドやフリーランスとして働く場合には、自分自身の強みを見つけることが、付加価値の創出と差別化に繋がります。
外部から仕入れたモノに付加する自社で作り出した価値。付加価値
Q:売上を伸ばすことを意識して経営をしていますが、なかなか利益が伸びません。利益を増やすにはどうすれば良いでしょうか?
A:会社の付加価値を伸ばすことを意識しましょう。
会社経営においては売上が目立つので、売上に意識が向きやすいですが、利益を伸ばさなければ、結果として手元に残る現金は増えません。そこで利益を伸ばす必要があります。会社の経営において大事な利益は、本業のもうけを示す営業利益ということは聞いたことがあると思います。確かにこの利益を伸ばすことが大事です。
ただ、その営業利益の前にのばすべき利益があります。それが付加価値です。
●サービス業における付加価値
売上から売上原価を引いた売上総利益のことを指します。売上と売上にかかった原価を除いた差額の売上総利益は、会社がお客さまに対して付加価値を提供したというイメージです。
売上-売上原価=売上総利益=付加価値
●製造業における付加価値
製造業では製造プロセス費が売上原価の中に発生しているため、売上総利益に製造プロセス費を考慮します。この製造プロセス費は工場における地代家賃や人件費、光熱費等です。
売上総利益+製造プロセス費=付加価値
つまり、付加価値とは外部から仕入れたモノに対して自社で作り出した価値をつけて販売した結果ということです。この付加価値を上げることを意識することが売上総利益の向上につながり、結果として営業利益の向上につながります。
付加価値を上げることが、結果として売上全体の向上に
Q:付加価値を意識することで、営業利益が向上すること以外にメリットはありますか?
A:付加価値を上げることを意識することにより、自社の中で重要なサービスに気づくことが挙げられます。
例えば、メーカーやソフトウェア会社におけるアフターサービス・保守売上は売上の絶対額としては少なく経営上は軽視してしまうかもしれません。しかし、そのサービスが提供している付加価値でみれば非常に価値のあるサービスです。
また、サービス業においても無理に顧客拡大、売上拡大に進むと一つひとつのサービスの質が低下し顧客離れを起こしてしまいます。それよりも、お客様にリピートしてもらう工夫をしたり、1社あたりの売上高や1人あたりの売上単価を伸ばせる工夫をすることが付加価値をあげることにつながります。
売上ばかりに意識が向いていると、販路拡大や値引き戦略ばかりに力を入れがちですが付加価値を高めることを意識すれば商品力・サービス力が高まり、自社のファンが増え、結果として売上全体の向上につながります。
このように付加価値活動とは、顧客満足に直接影響する活動なのです。ぜひ自社の付加価値を高めることを意識してみましょう。
専門家:江黒 崇史
大学卒業後、公認会計士として大手監査法人において製造業、小売業、IT企業を中心に多くの会計監査に従事。
2005年にハードウェアベンチャー企業の最高財務責任者(CFO)として、資本政策、株式公開業務、決算業務、人事業務に従事するとともに、株式上場業務を担当。
2005年より中堅監査法人に参画し、情報・通信企業、不動産業、製造業、サービス業の会計監査に従事。またM&Aにおける買収調査や企業価値評価業務、TOBやMBOの助言業務も多く担当。
2014年7月より独立し江黒公認会計士事務所を設立。
会計コンサル、経営コンサル、IPOコンサル、M&Aアドバイザリー業務の遂行に努める。