少子高齢化やテクノロジーの革新などを背景として、「働き方」の変革が進んでいると言われてます。では、個人のスキルや特徴、志向性を活かした多様な働き方を実現するには、どのような仕組みが必要なのでしょうか?働き方の多様化が進むことによって、個人が自分の潜在価値を最大限に発揮し、キャリアを戦略的に構築していく機会が増えていくことが期待されます。
2016年9月、安倍総理は、総理大臣官邸で第1回「働き方改革実現会議」を開催しました。政府も「働き方改革」に着手し、同一労働同一賃金や正規と非正規の労働者の格差、外国人就労など検討を進めています。その他にも、長時間残業の温床になっているとも言われる36(サブロク)協定や解雇規制の見直し、副業の解禁など、様々なテーマがあり、中には経済界・企業が率先して取り組んでいくべき課題もあります。
「一人ひとりが輝く」 2035 年における働き方とは
厚生労働省では、2016年1月から「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会にて、未来の働き方についての議論を開始しています。同懇談会では、フューチャー株式会社 会長兼社長の金丸恭文座長のほか、「40歳定年説」の東京大学・柳川教授(参照記事:肩書きが通用しない時代。自分の価値を高める唯一の方法とは【前編】 「40歳定年説」東大柳川教授 https://nomad-journal.jp/archives/490)、サイボウズの青野氏、経営共創基盤の冨山氏など、平均年齢47.5歳の多様な分野のメンバーによる意見が交わされ、その成果が8月2日に報告書としてまとめられています。
本報告書では、「一人ひとりが輝く 2035 年における働き方」として、自由な働き方が増えることで企業組織も変わらざるを得ないこと、さらに、働く人が働くスタイルを選択することで、企業と働く人との関係も変化することなどが述べられています。
テクノロジーが支える、時間や空間に縛られない働き方
「働き方の未来2035」でも取り上げられている「場所や空間にしばられない働き方」。働き方の多様化でまず挙げられるのが、時間や場所に縛られない働き方の進展です。2013年ごろから急速に一般的な認知が進んだ「クラウドソーシング」を展開する企業が上場したり、リモートワーク、在宅勤務の導入といったトピックスもそれらのトレンドを端的に示しています。
こうした新しい働き方の実現を促しているのが、テクノロジーの進歩です。情報技術が大きく進展し、異なる空間にいても、ネットを通じてコミュニケーションをしたり、共同作業をすることが可能になることで、働く場所に関する物理的な制約がなくなり、多くの仕事が、「いつでもどこでも」できるようになります。
本メディアでも取り上げていますが、場所や時間にこだわらず働くノマドワーカー(「独立してフリーランス、ノマドワーカーになる前に」第1回:ノマドになるには? https://nomad-journal.jp/archives/564)や、様々な人が集まって作業ができるコワーキングスペース(【ノマド】SOHOからコワーキングへ。コワーキングスペースのトレンド① https://nomad-journal.jp/archives/516)が増えてきていることからも、場所と時間を選んで働く時代が到来しつつあることがわかります。
いつでもどこでも、働く個人が自分の意思で働く場所と時間を選んで自由な働き方を実現していくことで、ライフ・ワークバランスの改善というよりも、ライフとワークが融合していくような時代になっていくのかもしれません。
記事作成:川口 荘史
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