前回の「【地方×副業、リモートワーク】第3回:序論2.地方で働くことのハンディキャップ」まで、「地方の仕事」を取り巻く現状をご紹介した上で、地方で働くメリットとハンディキャップをそれぞれ見てきました。
今回は、地方で働きつつ収入を増やす方法論として、まず「副業」について考えてみたいと思います。
都会との収入格差、まだまだ大きい
前回でもお伝えしましたが、地方と都会との収入面での格差は極めて大きいのが現実です。厚生労働省のデータをもとに都道府県別の平均年収を算出したデータによると(※)、1位の東京都と47位の沖縄県の間に約250万円もの格差が出てしまっています。同じ日本で働いているのに、ここまで差がついてしまうことに正直、驚きを禁じ得ませんが……「地方の仕事」を取り巻く厳しい現実も、しっかり頭に入れておくことが必要でしょう。
※詳細は前回記事 【地方×副業、リモートワーク】第3回:序論2.地方で働くことのハンディキャップ をご覧ください
もちろん、「地方で働くと収入が減る」と一概に言えるわけではありませんが、平均的に見れば年収格差が存在するのは事実です。よってその現実を直視した上で、「格差を埋めるべく工夫しよう!」と努力する人たちもいます。その方法論のひとつが「副業」なのです。
「メインの仕事の収入が不十分だから、副業でおぎなっていこう」
こう考えて、精力的に副業をこなす人が、地方には増えてきています。
副業の種類
それでは、地方での副業には具体的に、どんなものがあるのでしょうか。
主なものを見ていきましょう(ただし、ここでは在宅ワークをのぞきます)。
◆講師系
人にものを教える仕事です。昼間の仕事の後、夜の空いた時間を有効に使えるので、昔から人気のある副業です。
・家庭教師(時給1500~3000円ほど)
副業として最もポピュラーなもののひとつでしょう。時給も普通のアルバイトより高めです。だからといって、楽に高額の収入を得られるというわけではありません。この手の仕事はあらかじめ授業の準備をしていく必要があるため、実際に教えている時間とは別に、時間や手間をかけなくてはなりません。
また、単に教えていればいいというものではありません。家庭教師では、学生のレベルに応じて指導法を工夫していく必要があります。その上、生徒と上手く関係を作れるかどうかで、仕事の成果も大きく変わってきます。教科についての知識だけではなく、生徒個々に応じた対応力や、生徒の心をつかむコミュニケーション能力が問われるのです。
・塾講師(時給1500~3500円ほど)
家庭教師と同様に、「教える」副業として人気があります。
塾で一般的に行われている集団授業の場合、10人~30人程度の生徒を一度に見なくてはなりません。
どの生徒にも分かるように丁寧に教えることはもちろん、生徒の反応を見ながら、柔軟に教え方を変えていく必要があります。家庭教師とは違い、多数の生徒を一度に教える難しさがあります。
家庭教師・塾講師とも、上の学年の生徒ほど教科の内容も高度なので、時給も上がる傾向にあります。ただしその分、教科についての確かな知識が求められます。
・スポーツインストラクター(時給1000~2500円ほど)
スポーツなどの経験・技術がある人は、それを教えることを仕事にできます。
スポーツインストラクターの主な仕事として、水泳やフィットネス、ヨガ、格闘技などがあります。
時給の相場はまちまちですが、大手の仕事先で、多数の生徒をあずかるインストラクターほど時給は上がります。この仕事は生徒が身体を動かすので、万が一の事故などが起きないよう、全員に目を行き届かせることが重要です。
◆接客系
主に昼間の仕事を終えた後、飲食店などの夜のシフトに入るパターンです。
・ファミレス・ファストフード(時給800~1500円ほど)
夜のシフトに入ると、ちょうど夕食の時間と重なるため、かなり忙しい場合もあります。昼の仕事の後ではなかなかハードな面もあるので、タフに働く覚悟は必要です。
深夜勤務であれば、お客が少ない割に時給は上がります。もっとも、メインの仕事に影響が出ないようにしましょう。
・コンビニ店員(時給800~1300円ほど)
定番のアルバイトで、求人も多いことから採用されやすい仕事です。コンビニはマニュアルが細かく、面倒に感じる人もいるでしょうが、基本的なことを覚えてしまえば、マニュアルどおりに作業すればいいので、長く働き続けるなら楽だという面もあります。
こちらも深夜の時給は上がりますが、無理は禁物です。
・キャバクラ・スナック・パブ(時給1500~3500円ほど)
女性のお仕事です。「大人のお店」でセクシーな衣装を着て、主に男性客のお酒のお相手をします。いうまでもなく、時給は他の仕事より上です。
夜の時間を有効に使えるので、この世界で副業をする人もいます。もっとも、誰にでもできる仕事ではなく、年齢的な制限もあり、狭き門といえるでしょう。
また、男性の場合もホストクラブでの仕事がありますが、これまた競争の激しい世界です。
◆運輸系・肉体系
中にはハードな仕事もありますが、大きく稼げるものもあります。
・運転代行(時給1000~2000円ほど)
飲酒運転の厳罰化にともない、以前より需要が増えています。特に金・土曜の夜に集中して需要が発生するので、この時間に集中して稼ぎたい人にはおすすめです。
ただしお客の車を運転する場合は、タクシーの運転手が持っている第二種運転免許が必要になります(持っていれば、報酬もアップします)。
・ポスティング(時給700~1200円ほど)
時間を柔軟に使えるという意味では、最も融通の利く副業とも言えます。ただし報酬はチラシ1枚あたり1~3円程度が相場なので、とても割のいい仕事とは言えません。
もっとも仕事に慣れて、短時間で多数のチラシを配布できるようになれば、そのぶん時間当たりの収入は増えます。
・引っ越し(時給1000~2000円ほど)
いうまでもなく、副業の中では負担のかなり多い肉体労働で、タフネスが求められます。引越し会社と上手くマッチングすれば、都合のいい時間に働けます。体力自慢の方であれば、多くの件数をこなし、収入源にできるでしょう。
・清掃業務(時給1000~1500円ほど)
ビルのオフィスなどを清掃します。引越しほどには体力を要しませんが、それでもなかなかタフな仕事です。基本的にはそう不潔な場所の清掃はないですが、中にはトイレがとても汚いところもあります。仕事と割り切って、働くことが必要です。
無理は禁物
以上、主な副業について見てきましたが、どんな副業であれ共通するのは「やりすぎはいけない」ということです。副業はあくまで「サブの収入源」でしかありません。睡眠不足になってしまったり、疲労で身体を動かすこともままならなくなるなど、本業に支障をきたすようであっては本末転倒だからです。
本業との兼ね合い、自分の体力との兼ね合いをしっかり考えてこそ、副業という収入源も長続きさせられるのです。
記事制作/欧州 力(おうしゅう りき)