ここまで見てきた中で、フリーランス労働を選ぶのは、自由を求める米国のミレニアルズなどの若い世代、仕事よりも生活を重視する人、社会の慣習などから外で働きにくい女性、定年後も社会とのかかわりを保ち続けたい高齢層などでした。
これらの人々は、それぞれの事情、あるいは信念からフリーランサーとなっているわけですが、フリーランスという労働形態自体は、いったい男女のどちらに向いているのでしょうか。
女性がフリーランサーに適している!
オンライン・フリーランサープラットフォームのTruelancerは、「女性がフリーランサーに適している7つの理由」を挙げています。それらは、
1.女性フリーランサーは、男性よりも詳細に気を配る
女性は男性よりも忍耐強く、観察的。女性フリーランサーに仕事を提供すると、徹底的にレビューされ、批判的に分析された最終結果を得ることができます。
2.女性は男性よりもよく反応する
バーチャル環境で仕事の依頼主とコミュニケーションをとらなければならないフリーランサーにとって、小まめな反応は仕事獲得への決定的な要因です。女性は男性より仕事の再編集を厭わず、建設的な批判も受け入れます。
3.女性は自身をより良くマーケティングできる
フリーランサーが仕事を得るためには、自分を売り込まなければなりません。女性は男性より温和なため、自然な方法でのマーケティングに適しています。
4.女性はマルチタスクが得意
男性が複雑な単独タスクをうまく処理するのに対して、女性はマルチタスキングに優れています。フリーランス業では同時にいくつかのタスクをこなすことも頻繁です。
5.女性はより創造性を発揮する
女性は男性よりも創造性を発揮します。ライティング仕事、コンサルティング、バーチャルアシスタントなどはすべて、起こりうる問題に対して創造的な解決策を必要とします。男性がより直接的になるのに対して、女性のフリーランサーは創造的なソリューションを提供します。
6.共感は女性から得られる可能性が高い
共感はフリーランサーに強調される属性です。女性はお金のためだけに動かず、なすべきことをします。これは女性のライター、バーチャルアシスタント、コンサルタントが仕事依頼主の個人的な期待を満たす可能性が高い理由です。
7.女性は少ない睡眠で働く
フリーランサー業ではしばしば長い労働時間を要します。女性は睡眠時間を削っても、タスクを完成させます。
以上のような理由から「女性はフリーランス業で成功するために必要なすべての基準に合致している」と結論づけられています。
女性が男性より高収入を得ている分野
上記はフリーランサーを目指す女性にとっては、非常に心強い内容です。しかしいかに女性がフリーランス業に向いていても、収入が伴わなければ何にもなりません。そこで今度は、現実に女性フリーランサーの収入はどうなっているのかを見てみたいと思います。
米国サンフランシスコに本拠を置くフリーランサープラットフォームLystable(現Kalo )が2千人のフリーランサーを対象に行った調査では、女性のフリーランサーが米国のいくつかの主要都市で、男性を上回る収入を得ていることが明らかになりました。トップのアトランタでは、 女性が男性よりも14%上回る収入を得ており、ミネアポリスでも13%上回っています。
また女性フリーランサーの収入は、米国平均と比べて、ニューヨークで32%、ロサンゼルスで19%、デトロイトで17%、サンディエゴで5%、シカゴで4%、サンフランシスコ で1%上回っていることもわかりました。
ただし女性が男性よりも高収入を得ている理由は、この調査でははっきり分かっていません。Lystableの創設者兼CEOのピーター・ジョンストン氏は「サンフランシスコのハイテク経済には男性優位の傾向があるにもかかわらず、女性のフリーランサーたちが利益面で有利なのは非常に興味深い」と発言しています。
女性が高収入を得ている分野は、ライティング、ビデオ、グラフィックデザインなどですが、いくつかの重要な分野では、女性は依然として男性の収入に後れを取っています。Lystableの女性の平均請求額の 266.31ドル(約29,899円)は、男性の平均請求額232.87ドル(約26,144円)よりも高くなっていますが、女性が男性より少額で請求を出したり、より小さめな仕事をしているように見える分野もあるそうです。たとえば 男性映像作家の平均請求書が1,744.96ドル(約195,935円)であるのに対して、女性は381.90ドル(約42,885円)です。「映像撮影に携わる女性の数は男性よりはるかに多いのですが、男性の方がより高く請求しています」とジョンストン氏は語っています。
まとめ
Lystableのプラットフォーム上の4万人のフリーランサーの63%は女性。ジョンストン氏は、Lystableが、スキルとパフォーマンスに基づいた支払いをより簡単にできるようにすることで、男女間の収入のギャップを埋めるのに役立ちたいと望んでいます。「もちろん誰もがフリーランサーになりたいと望んでいるわけではありませんが、アメリカ企業の賃金格差への対処がほとんど進んでいない中で、女性が家や車を買うのが容易でないことを考えれば、女性は自分自身のために働く方法を探し始めるべきだと言えるでしょう。」
The National Partnership for Women and Familiesは、米国の伝統的なフルタイム労働で男性が稼ぐ1ドルに対して、女性が稼げるは80セントであることを明らかにしています。男女賃金格差への米国企業の対応の遅れは、ジョンストン氏の言うように、伝統的な仕事以外の選択肢を探すべき、説得力のある論拠と言えるでしょう。
そしてフリーランスの仕事のいくつかの分野で、実際に女性が男性よりも多くの収入を上げている例があるということは、女性フリーランサーにとって大いに希望の持てることではないでしょうか。
参考記事:
https://www.forbes.com/sites/elainepofeldt/2017/04/04/the-freelance-fields-where-women-out-earn-men/
記事制作/シャヴィット・コハヴ (Shavit Kokhav)