ミレニアルとは?
“ミレニアル”という言葉を聞いたことがあっても、具体的にどのようなことを指すのかを知らない人は少なくありません。まずは、ミレニアルという言葉の意味について説明していきます。
情報リテラシーが高い世代
ミレニアルというのは、一般的に“1980年代から2000年代初頭生まれのインターネットが普及した環境で育った人たち”のことです。
つまり、インターネットがインフラの一つとして確立した時代に生き、情報リテラシーが高い世代を指します。パソコンを当たり前に使いこなし、携帯やスマートフォンを何なんく使える人たちのことです。
今後の事業を成功させるためにも、次世代の社会を担う彼らの考え方や価値観を理解していく必要があります。
他者の価値観を尊重できる世代
ミレニアル世代は、インターネットの普及と合わせて他者の情報や考え方などに接しやすくなりました。そのため、多様な価値観や考え方を受け入れやすく、他者の価値観を尊重できる人が多いといわれています。共感を武器とした行動に特化している人も少なくありません。
自己の利益を尊重するのはもちろんですが、企業内や他社と連携していく上では、ミレニアルのような他者への共感力や考え方の多様性は強みの一つとして発揮されるに違いありません。
ミレニアルの価値観や生き方とは?
ここでは、ミレニアルの価値観や生き方、考え方などを説明します。ミレニアル自身はもちろん、一緒に働く機会が多い人や部下にもつ人はぜひ参考にしてください。
肩書きよりも質を重視
まずミレニアルは、“肩書きやブランド”よりも“内容や質”を重視する傾向にあります。目に見えるものではなく、その内面を重要と考える人が多いのです。
そのため仕事においても、“ポスト”よりかは“やりがい”や“仕事の内容”に重きを置いて行動する人のほうが多いかもしれません。
この考え方の背景には、“その企業で自分は何が実現できるのか?”という自己実現欲というのが見え隠れします。
大切なのは“人とのつながり”
ミレニアル世代においては“人とのつながり”も行動を決定する上では大切な要素です。ただしこの考え方は、単純に一緒に誰かと時間を過ごしたいのではなく、自分にとって学びや共感ができる仲間とつながっていたいという気持ちの方が強いです。
そのため、自身にメリットやバリューを感じることのできないイベントや飲み会には、たとえお付き合いであっても参加をしたいとは思わない人も少なくありません。自分の時間は自分の時間として大切にしたいのもミレニアル世代の特徴の一つです。
自分も相手も尊重する
ミレニアルは、成長と併せて大なり小なりのインターネット文化を渡り歩いてきているためか、他者の考えや価値観を尊重しやすい人が多いです。
顔が見えない相手とのSNSやチャットでのやり取り、そこで交わされる考え方の共有などを経験していることが背景として挙げられます。
自分の考えや欲求には素直ですが、自分が自分がとやたら前に出るタイプではなのもこの世代の特徴です。
企業がミレニアル世代と働く3つのメリット
では、企業においてミレニアルと一緒に働くメリットは何なのでしょうか。ここでは3つの観点からお話していきます。
1. 企業への新しい価値観の提供
1つ目は、ミレニアル世代による新しい価値観の提供です。
企業では毎年一定数の社員が入れ替わりますが、どうしても考え方や価値観は従来の社員に影響されているのが現状です。
これまでの世代とは一線を画した考え方をするミレニアル世代が入ることで、企業に新しい価値観を提供できます。
しかし、企業側に新しい世代の価値観を受け入れる体制がなくては、どうしようもありません。中には「ミレニアルが会社を壊そうとしている」と考える人もいるぐらいです。
ミレニアルは決して会社やこれまでの企業文化を壊したり、自分勝手に動かそうとしたりしているのではありません。これまでの自身の人生をベースに新しい価値観や考え方を提供しようとしているのです。
そのため新しい価値観がほしい・手に入れたいと思う企業は、ミレニアルの多様性を受け入れられるだけの余裕が必要となってきます。
働き方の変化
2つ目は働くスタイルや時間など、働き方に対する意識の変化です。
これまでは定年まで同じ会社で働くことを常識としてきました。しかしミレニアル世代では、同じ場所で働き続けることへの危険性や一社に縛られることの危機感を持っている人が少なくありません。
この背景には、仕事における両親の苦労や働くことに対する疑問が根底にあると考えられます。そのため「これまでの昭和式の家庭スタイルで本当にいいのだろうか?」とミレニアル世代が疑問にもつのも事実です。
また、この数年でIT技術の普及により、オフィスで働くことが当たり前ではなくなりました。仕事は会社で行わないとダメという常識が破られたのです。
今や仕事は家でもできますし、カフェやカラオケボックスなどインフラさえ整っていればどこでもできます。中には海外で旅行しながら仕事をおこなう人もいるぐらいです。
こうした働き方への疑問や多様性のある働き方との接点を小さい時から持っているのがミレニアルの特徴です。そのため、働き方への変化には柔軟であるといえます。
3. 従来の社員への刺激
3つ目は企業でこれまで働いてきた社員への刺激やモチベーションアップです。
どうしても同じ企業や組織で長年働いてくると、考え方が凝り固まったり、柔軟な発想や思考がおこないにくくなったりします。
そこにこれまでの社員とまったく異なる価値観を持つミレニアル世代を入れることで、社員への刺激につながるのです。
ここで注意をしてほしいことが1つあります。それは“企業への新しい価値観の提供”でも触れましたが、”社員の多様性を受け入れる体制が組織でてきているか”です。
この点が準備できている企業とそうでない企業ではミレニアルへの風当たりが変わってきます。
上層部としては、ミレニアルの価値観が組織にもたらす変化に期待をして採用するケースが少なくありません。その一方で、現場がその考え方をくみ取れていないまたは知らないために「なぜ、こんな扱いにくい人を採用したのだ!」と考えのすれ違いが起こっているケースが往々にしてあるのです。
こうした企業内の摩擦にすり減らされたミレニアルは、会社で働くという理由を失い、場合によっては退職してしまうというケースも十分起こります。
上司や人事担当者が理解しておきたいミレニアル世代を扱うポイント
では、ミレニアルと一緒に働きたいと考える企業の管理職や人事担当の人たちはどのようなことを理解していけばいいのでしょうか。ここでは、3つの観点からお話しします。
ミレニアル世代の特徴を理解する
まずはミレニアルの考え方や特徴、その価値観を理解することです。これが企業単位でおこなえるかそうでないかで、ミレニアル世代の扱い方や向き合い方が変わります。
ミレニアルが何を好み、どのようなことを避けるのか。自社の企業文化を振り返ったときに、ミレニアル世代とのマッチングはできているのかを考えていく必要があります。
個人としての生き方を尊重する
ミレニアルに対しては、組織の人間として生きる生き方だけではなく、個人としての生き方も尊重する必要があります。企業としては、組織と個人両方の側面からサポートできるとミレニアルからは喜ばれるのではないでしょうか。
会社の中に集団の和を重んじる文化がある場合には要注意です。ミレニアルの個人を大切にする価値観を異物ととらえて、排除しようとする可能性があるからです。
ミレニアルは、決して会社の文化をけなそうとしたり、無駄なものとして扱おうとしたり思っていません。組織人であると同時に、自分というものを大切に思っているからこその行動なのです。
学習と成功の機会を与える
ミレニアルは、“内容”を重視するのと同時に“目に見える成功体験”を仕事で実感できることも大切としています。
そのため、長い下積みや苦労だけだとミレニアル世代は会社を去ってしまう可能性があるのです。組織としてミレニアル世代に長く働いてもらうためにも、会社としてできる工夫が必要となります。
仕事を通して、勉強会や研修などの学習の機会を与えるのと同時に、実務では小さいところから成功体験をさせていくと組織の中でもやりがいを見つけられるのではないでしょうか。
世代が変われば、考え方や文化も異なります。企業で元気に働いてもらうためにもミレニアルの特徴を理解した手法が必要となるのです。
まとめ
ここでは、ミレニアル世代の特徴をはじめ、一緒に働いていく上で知っておいてほしいことや考え方などを中心に紹介しました。
これまで謎に包まれていたミレニアルについて理解をすることで、よく分からない恐怖の対象から親しみを持てる存在へて変わってくるはずです。
これから一緒に長く働くパートナーでもあるミレニアル世代を少しでも知ることは、会社の戦力として長く働いてもらえるような組織作りに生かせるに違いありません。