データを武器にした課題解決家 柏木吉基さんに聞く

数多くの講師・コンサルタントをみてきた、研修・セミナープロデューサーの原 佳弘氏による「選ばれるコンサルタント」連載。

前回は、ビジネス数学の専門家 深沢真太郎さんに、「サラリーマンよりお客様に感謝される仕事がしたい」との思いでの独立ストーリーを伺いました。(https://nomad-journal.jp/archives/1096

2回目のリアルトークに登場していただくのは「データを武器にした課題解決家 柏木吉基さん。学者や教えるだけの専門家ではなく、現場の実務で実践することを目標とした、ビジネスに使えるデータ活用のプロの実務家です。独立前は、日立製作所を経て、日産自動車に勤め、あのカルロス・ゴーンCEOを初めとした外国人役員に、数々の企画や提案をデータ活用を通じて成し遂げてこられた方です。

そんな「実務データ活用のプロ」の柏木さん、どんなヒストリー、想いで現在に至ったのでしょうか。

独立を目指していたのではなく、効果的な働き方を考えた結果、独立を選択した

Q:なぜ独立コンサルタントを目指そうとお考えになったのでしょうか?

柏木 吉基氏(以下、柏木):

目指していたのではなく、結果的にその選択をした、というのが正しいでしょうか。その理由をお話させていただくと、2つあります。

1つは、「コンサルタント(いわゆるコンサルタントというよりもプロの実務家ですが)を目指す」ことを考えたのではなく、「自分の持っている力をもっとも効果的に発揮できる場所、方法、形態」を考えたときに、一組織に身を置くのではなく、フリーで活動することが理に適っていたためです。

もう1つは、以前からやってみたいと思っていた大学教員にならないか?というお話が来たのです。その時、大学教員になるためには、サラリーマンを継続することが難しかったのです。

Q:なるほど、自分の力をより効果的に発揮できる形態を模索したら、自然と独立という選択肢を選ばれたのですね。そこからコンサルタントという専門家という道を選ばれたのは、なぜでしょうか?

柏木:

一つには、「教えること」そのものが好きだったのです。サラリーマン時代を通じて、せっかく培った経験やスキルを、より広く世の中に広めることに使えたらより理想だと考えたのです。サラリーマンならば、一組織でいくら力を発揮するといっても、やはり第一のお客様は”自分の会社”ですから、それよりも広く社会に貢献したい、自分の力を試してみたいと考えた訳です。

Q:「教える」ことが好きという明確な理由があったのですね。先ほどおっしゃっていた、一般的なコンサルタント像を目指さなかった、という点は何かお考えがあったのでしょうか。

柏木:

はい、自分の中の定義なのですが、一般的にコンサルタントとは、「お客様の問題解決を自分が代わりにする」という存在だと考えています。一方、私が目指したかったポジションは、「教えて、定着させて、相手にやってもらえるようになる」ことだったのです。これは、お客様の課題の緊急度によって、短期的な課題解決が求められるならば、一般的なコンサルタントがしてしまった方がよいかもしれません。しかし、緊急課題ではない場合、中長期的な視点にたって、そのお客様が自ら今後も改善や成長をしていける「底力」を付けていくことこそが、私の実務経験に基づいて目指すべきところである、そう信じています。

言い方を変えると、「経費」としてコンサルタントが短期的な課題解決をするのか、「資産」として私が目指す人材育成が中長期的に残る形で行うのか、そういった違いです。

独立後の活躍につながった、サラリーマン時代に意識していたこと

Q:なるほど。その視点の違いは大きいですよね。そういった点が、独立後にすぐに活躍されていらっしゃる理由なのかもしれませんね。
ちなみに、サラリーマン時代に、柏木さんのおっしゃるプロの実務家を目指そうと、準備されたことなどは何でしょう?

柏木:

「現在の立場を目指すために」身に付けたというよりは、サラリーマン時代に意識していたことが、後から振り返ると結果的に今につながっている、という認識です。

Q:それは、サラリーマン時代に意識してやっておられたことが活きた、ということでしょうか。

柏木:

はい。私は、サラリーマン時代から会社の業務や自分の役割を、一歩超えたところまでを考えて行動するようにしていました。「受け身」の仕事の仕方だけをせずに、常に「これはなぜ必要なのだろうか」とか「これは本当に一番良いやり方なのだろうか」といった批判的なものの見方や、自分なりの評価を付けることを常日頃からしていました。

そのような問いを敢えて周囲にぶつけたときには、必ず自分の考えは本当に正しいのか、他によりよい方法があるとしてそれは何なのか、どうやれば相手に分かってもらえるのか、といった疑問や壁に必ずぶち当たります。それを一つ一つ突破しいったことが、今につながっているポイントでありコツです。

《後編へ続く》

【専門家】柏木 吉基
データ&ストーリーLLC 代表・多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授・横浜国立大学 非常勤講師
大学卒業後、日立製作所にて海外向けセールスエンジニア。
米国にてMBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部ビジネス改革マネージャ等を歴任。
グローバル組織の中で、ロジックとデータを武器に数々の経営課題プロジェクトをリードした実績を持つ実務課題解決家。
2014年10月独立。http://data-story.net
【専門家】原 佳弘
Brew(株) 代表取締役  セミナー/研修プロデューサー
1973年生まれ。中小企業診断士。
横浜市立大学卒業後、建設市場のシンクタンクにて経営企画を担当。その後、法人向けセミナー・企業研修を行う会社へ転職。
階層別研修から営業、マーケティングなど専門領域の研修設計、セミナー企画実施を10年以上行う。
 
2014年、Brew(株)設立。300人以上の講師・コンサルタントネットワークから「最適講師の提案」、顧客の課題解決につながる研修やコンサルティングを「ゼロから設計」して提供している。
東洋経済オンライン、ハーバービジネスオンラインなどでも執筆。

著書には、「研修・セミナー講師が企業・研修会社から”選ばれる力”」(同文館出版)がある。
ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスX-bookを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。