アイ・モバイル株式会社 安東 佳代氏

「ホームページシステム」「サイト作成サービス」「インターネット広告」など、IT関連事業で飛躍を遂げているアイ・モバイル株式会社。”世界一かんたんに作成・更新できる”を目指して生まれた一歩先を行くシステム「スマートページ」を中心に、約3000の税理士事務所と2万社の中小企業のHP制作を手掛けています。

それぞれが別々に知識を習得していた営業職の意思を統一するため、更なる組織体制の強化を目指している同社。専門家のスキルを学ぶ機会を設けることで知識のすり合わせに成功しつつ、明確な課題を発見することで、次のステップを模索し始めています。

今回はアイ・モバイル株式会社の人事担当である木城克彦さんと、安東佳代さんに外部人材の知見をどのように活用したのか、具体的な事例を伺いました。専門家による人材育成施策によってどのように課題解決がなされたのでしょうか。

(本インタビューは、専門家相談サービスOpen Researchの事例インタビューです)

実践力、コストパフォーマンスと柔軟性。専門家に相談をするメリット

Q:企業側が専門家相談サービスを利用するメリットについては、どう思われますか。

安東 佳代 氏(以下、安東):

現場で活きるような、実践性のある使える知見であることですね。内容も、明日からすぐ活用できるようなテクニックから、もっとベースになるような考え方やスタンス、働き方についてのお話もありました。営業は現場で学ぶことが多いので、逆にこうした外部の実践経験のある方のお話を聞いて、まとまった考え方や営業思考が共有できる機会があるのは良いですよね。

木城克彦さん(以下、木城):

他にあげられるメリットとしては、コストパフォーマンスと柔軟性ですね。一回ごとの報酬で済むところと、手作り感といいましょうか、初めの頃から半分が経ちましたが、最初に比べて大幅に内容が変わっている。こちらの希望に対して、柔軟に対応していただいているということですね。

研修が1~12回と決まったら、普通は内容や講師含めて修正が効かない例が多いんですけど、その都度、社員や講師にフィードバックをもらいながら変えることができる柔軟性があるのはとても魅力だと思います。

Q:ありがとうございます。たしかにカリキュラムを組んでしまうと、途中で止めるというのは難しいですからね。

木城:

例えば、研修をやる上で300万円を払った。でも、途中でつまらなくなったとしても止めることはできません。それって企業側としては一番困るじゃないですか。今回はコストがもっと安く、内容も途中で変更もできる、これは大きなメリットです。導入ハードルも低いですね。

Q:今後、営業以外に専門家相談サービスを活用しようと考えている領域はありますか。

木城:

営業以外で考えられるとしたら、「お客様対応」「お客様満足」「カスタマーサービスの業務」はあるかもしれません。そこまで出来たら、次は企画・マーケティング。どうやったらサービスを売れるのかという販促側ですね。徐々に範囲を広げて、今回のように自社でカスタマイズをした独自の研修を組むことができればと思っています。

Q:マーケティング領域まで専門家活用を考えられているのですか。

木城:

営業は販売するものが決まっていて、最後は売るだけですけど、その前の販促は「どうやったら営業が売りやすくなるのか」「売れるものを作れるのか」という戦略を組み立てなければいけない。ここは特に人材育成やスキル・ノウハウの獲得が難しいところになりますので、研修か個別相談という形で多様な専門家から知見をもらいたいと思っています。

人事が語る『人材』の本質、チャンスを与えることが未来に繋がる

Q:外部人材を活用してまずは営業から人材育成をしている御社ですが、ここからは視点を変えて、「人材」についてのお考えを伺いたいと思います。

木城:

当社の基準で考えれば、「筋肉質」な人材が集まる会社にしたいと思っています。人の入れ替えを積極的に行って、頑張っている人、成果が出ている人を増やしていきたいです。もちろん、教育研修の体制を整えることで、会社の望むような成果が出せる人にすることは必須。なので、下位5~10%の人は入れ替えるということです。

Q:積極的に人材の入れ替えを図って、筋肉質な企業を目指している、と。

木城:

ただ、人事としては「ちょっと待てよ」というのが心情です。このやり方はIBMで実証されていて、失敗のパターンなんです。結局、下位5%というのは毎年できるので、入れ替えを行っていなくなるのかと言うと、必ず出てくる。人間は必ず階級を作り、それが続くと現場は疲弊してしまいますよね。

Q:あまり効果を発揮しないやり方なのですか。

木城:

とりあえず入れ替えるべき人はいます。全然仕事に対応できなかったり、態度が会社と合わない人は辞めてもらうべきです。しかし、そうではない人たちには、チャンスを与えてあげたいんです。だって適切に育成したらできるんだから。そういう人たちには、きちんと教えることが大切なのではないかと、私は思っています。

人事は会社の方針と現場の思いをすり合わせる立場。その中で外部を活用した研修は、必要になってきます。外部の考え方が入ってくることで、凝り固まっていた自分が、例えば「営業ってこうじゃないんだ」「仕事ってこうじゃないんだ」と気づく瞬間が必ずあると思うんです。

Q:安東さんにお伺いします。人事担当として、現場で働く社員にどういう環境を提供していきたいと思っていますか。

安東:

どういう風に成長してほしいという願望はありません。本人たちの思いを応援したいと思っています。ただ、細かいスキルの部分も良いんですけど、中々聞くことができない話をしてもらい、自分たちのやる気が上がっていくような環境を提供するために、専門家相談サービスを活用したいです。

変わりゆく日本の労働市場。会社のコアな部分以外の9割はアウトソーサーに

Q:最後のご質問をさせていただきます。Open Researchも人材活用の新しい形かと思います。今後、働き方はどのように変化していくと考えられますか。

木城:

一概には言えませんが、今後の日本は人口が減っていくのが明白です。物が売れなくなり、移民が入る可能性がありますが、「売上が伸びない」「会社の規模が小さくなる」という世界になる恐れがある。一箇所に集まり、仕事をするスタイルではなくなっていく。会社があって、そこで仕事をするわけではなくなると思います。

Q:多様性のある働き方が広まっていくということですか。

木城:

特にIT業界は在庫を持たないので、例えば100人の企業が10人に変わるのではないかと。つまり、会社のコアな部分の人材が10人いて、残りの90人はアウトソーサーになるんではないかと思っています。その時に、10人に残るような人材を育てたいですね。

Q:本当にコアな部分を担う人材になるように育成したいと。

木城:

アウトソーサーとして時間を切り売りするのも良いですけど、新卒を含めて現在の社員は、コアな人材になる考え方を身に付けてほしいです。そのためには色んなことを知らなければいけないし、自分で考えて動く、そういう人材になってほしいです。

今回の機会を活かして、外部の人材についても、1時間単位でも数か月単位でも、積極的に活用して多くのことを学び、実践していくようにしてほしいです。

言われたことだけをやるのではなく、私は「こういうことをやりたい」「こういうことを学びたい、知りたい」という考えを持つきっかけになると信じています。知らないことを知れるのって、すごく嬉しいことですからね。

Q:ありがとうございました。

取材・記事作成:山田 貴大

写真:加藤 静

ノマドジャーナル編集部
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