「働き方改革」が叫ばれている昨今、副業解禁の事例にみられる通り、複数社で同時に働く、という新しい働き方も広がってきました。一方でいまだわかっていないことの多いフリーランスの生態、今回はこちらに焦点を当てて調査を行いました。

株式会社サーキュレーションでは、これまで「ビジネスノマド」と定義して、シニアエクゼクティブからミドル層のビジネスプロフェッショナルを中心に多くの方に複数社で働く機会を提供してきました。

一方で、サーキュレーションで紹介したプロジェクトで働いている方を見たときに、年齢も30代から80代まで、報酬も月10万円の方から月100万円を超える方まで、3〜4社に深く入り込む方から、20社を超える企業と契約している方まで多様な働き方が存在します。このように働き方や志向性が大きく異なるビジネスノマドですが、なぜノマドになったのでしょうか?そしてどこで、どの程度働いているのでしょうか?今回はサーキュレーションサービスに登録している方々へのアンケート調査によってその一端を明らかにしました。

今回ご紹介するアンケート内容については以下の通りです。
● 何歳まで働き続けたいか
● 回答者の年齢
● フリーランス・個人事業主の週当たり稼働日数
● ノマドの週当たり稼働日数
● フリーランス・個人事業主の働く場所
● ノマドの働く場所
● ノマドやフリーランスになった理由

もはや70歳を超えて働くのも当たり前。70歳以上まで働き続けたい人が約半数

何歳まで働き続けたいかをたずねたところ、一般的な企業の定年である60歳〜65歳以上まで働きたいと答えた方が88%と大多数を占める結果となりました(図1)。

また、回答者の過半数は「60歳以上〜70歳以下」(56%)の年齢層で(図2)、働き続けたい年齢が「75歳まで」「80歳まで」「80歳以上」の合算で52%という調査結果から、多くの人が定年を迎えた後も5年〜10年は働き続けたいと考えているようです。

実際に80歳を超えてプロジェクトに参画されている方、iPadを使いこなしている方もいらっしゃいます。もちろん、役職はついているものの仕事はしていないというような、従来の相談役というイメージではなく、積極的に提案や発信を行い、プロジェクトに欠かせない存在として働く、活力あふれるシニアの方が増えてきています。このような現状を考えると、働くのは65歳まで、というのは本人の意欲や体力含めても適正ではないかもしれません。

【図1】何歳まで働き続けたいか

Q:何歳まで、働き続けたいとお考えですか。(1つのみ選択)

【図2】回答者の年齢

※年代別:何歳まで働きたいか?(50代、60代)

<50代>

left

<60代>

right

実際の稼働時間は雇用と変わらない?約半数は、週5〜6日働いている

ノマドやフリーランスというと、自分が好きな時間に自由に働いているというイメージをお持ちの方もいるかと思います。

そこで、働く時間(日数)について調査したところ、フリーランスでは「週5日」「週6日以上」合わせて45%と約半数が、一般的な会社員の勤務日数である週5日と同等か上回る結果に図3)。また、複数の企業で働いている方の場合、メインで勤務している会社以外で8時間(1日)以上が53%を占める結果となりました(図4)。

つまり、働く日数を抑えて働くため、というよりも、実際に仕事には時間を投下していることがわかります。必ずしも「働く日数を抑えたい」という目的のために独立したりするわけでないようです。

【図3】フリーランス・個人事業主の週当たり稼働日数

Q:フリーランス・個人事業主の方にお聞きします。1週間のうち、仕事をしている日数はどの程度でしょうか。(1つのみ選択)

【図4】ノマドの週当たり稼働日数

Q: 複数の企業でご活躍されている方にお聞きします。中心となって所属している企業以外に活動されている時間は、一週間でどのくらいでしょうか?(1つのみ選択)

働く場所の1位は自宅、オープンスペースがある企業も増加

一般的な会社員は、毎日、同じ会社の同じ席に座って仕事をすることがほとんどですが、ノマドとして複数の企業に所属したり、フリーランスとして働く場合には、「どこで働くか」を比較的自由に選べることが多いのが特徴です。

自宅でじっくり取り組んだほうが効率が上がる、周囲の目があったほうがやる気が出るなど、人によってスタイルはさまざまですが、今回の調査では「自宅」が1位となりました(図5、図6)。

2位以降では「カフェ、コワーキングスペース」と「企業内でのオープンスペース」が上位にランクイン。最近では都内にコワーキングスペースが増加しており、三井不動産(31VENTURES)や東急不動産(ビジネスエアポート)など、不動産企業もスペースの運用に乗り出しています。サーキュレーションでも実際にコワーキングスペースがオフィスに併設されていますが、今後、働き方が多様化するにつれて、こうしたオープンスペースを設けることが、外部人材を活用するにあたっての重要なファクターとなるかもしれません。

【図5】フリーランス・個人事業主の働く場所

Q: フリーランス・個人事業主の方にお聞きします。普段、どこで仕事をされていますでしょうか。(複数選択可)

【図6】ノマドの働く場所

Q: 複数の企業でご活躍されている方にお聞きします。中心となって所属している企業以外に活動される場合は、どこで仕事をされていますでしょうか。(複数選択可)

報酬を得る手段よりも、経験や知識を活かせる場として活用

ノマドやフリーランスという働き方を選んだ理由(図7)を見ると、1位「仕事の経験や知識を、広く活かしたい」、2位「年齢に関係なく、仕事をし続けたい」、3位「自分のペースで働きたい」という順位となりました。

ここで注目したいのが「収入を増やしたい」という理由が少ない点です。「仕事の経験や知識を、広く活かしたい」という、いわば”やりがい”を感じるために仕事を続けることが一番の目的であって、結果として収入アップもできればいいといった、あくまでも副産物的な捉え方をしている方が多いようです。

【図7】ノマドやフリーランスになった理由

Q:ノマドやフリーランスなど、ひとつの企業だけに属さない働き方を選んだ理由を、以下からお選びください。(複数選択可)

時間、報酬、成果・・・すべてが自分次第。ダイレクトに反応があることが魅力

最後に、実際にノマドやフリーランスとして働く上で感じていることについて、うかがいました。

魅力やメリットとしては、「時間管理が自由に設定できる」「生活リズムに融通がきく」など、働く時間をコントロールできることを挙げている方が多数いました。また収入に関しても「年金も含めてトータルで(収入などを)調整できる」などポジティブな意見が見られました。

さらに会社員時代との違いとして、仕事の成果が報酬に直結することでモチベーションや市場価値を知ることができたりと、自身のさらなるレベルアップに繋がっていると感じている方も多いようです。
しかし反面、こうした新しい働き方が一般的でなく、また世間での認知も十分とは言えないことから、「安定して仕事ができない」といった不安もあるようです。

(調査手法は登録者の一部を対象としたインターネットリサーチで、予備調査として行ったもの。調査期間は2016年7月8日(金)~7月17日(日))。

記事作成:宮本 雪

ノマドジャーナル編集部
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