生活に必要なモノはみんなだいたい持っていて、お店にある商品はどれも似たり寄ったり。品質の良さや「新」機能を謳っていても違いがほとんどわからない。現代は、モノが売れない時代と言われています。

そんな中で新しく出てきたのが、「モノ消費からコト消費へ」というトレンド。
Master Card「お金で買えない価値がある」や、日産セレナ「モノより思い出」といったCMが、記憶に残っている方も多いかと思います。

たとえば、アウトドア用のテントを売りたい場合、耐久性をアピールするのではなく、雨でも家族が暖かく過ごせることを伝える。テレビCMではなく体験型のイベントに予算を使う。店舗、商談、経営会議・・・あらゆるところで、均一の「モノ」ではなく一つひとつ、一人ひとり違う「コト(体験)」が求められているのです。

そこで必要となるのが、コト(体験)を語るためにストーリーを創ること。物語は、楽しさ、喜び、苦しみ、悲しみといった「感情」を引き起こし、それが結果的に購入といった「行動」に繋がっていきます。
よく言われるように、人はデータ・事実だけでも、逆に感情だけでも動かない生き物です。でも両方を上手く組み合わせることができれば、鬼に金棒ですよね。ここでひとつ、ストーリー思考について、学んでみましょう。

昔、韓国のセブン-イレブンではおにぎりが売られていなかった!?

おにぎりの本多さん
とっても美味しい『市場創造』物語


商品棚にはコカ・コーラもおにぎりもなく、そうじもされていない―韓国のコンビニ黎明期をつくり、おにぎりを食べる習慣のなかった韓国に「おにぎり記念日」ができるまでに知名度を高めた、本田さんの物語。
5年間に渡る孤軍奮闘ぶりは、「こんな熱い仕事をしてみたい!」と思わせるには十分すぎるもの。ストーリー思考や戦略の前に、ストーリーそのものが人をどう動かすのかを学ぶのに、うってつけの本です。

著者:本多 利範
出版社:プレジデント社
出版日:2016年08月02日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/book/1074

どんな会社にも、ユニークでおもしろい物語がある

物語戦略


かつてスティーブ・ジョブズは、こう語ったことがあります。「物語は王様だ。アップルの製品は10年で飽きられるが、素晴らしいストーリーは100年以上生き続ける。」
この言葉は本書で伝えようとしている、シンボリック・ストーリーの効果とも通ずるものがあります。つまり、ビジネスモデルや製品と物語とが結びつくことで、多くの人を強く引き付け、愛され続けるようになるということです。紹介されているのはAppleやパタゴニア、ルイ・ヴィトンなど有名企業ですが、どんな会社にも「物語」はあるものです。さあ、早速探してみましょう。

著者:岩井 琢磨、牧口 松二 著、内田 和成 監修
出版社:日経BP社
出版日:2016年04月12日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/book/862

自分の伝えたいことだけを語るのは、ストーリーテリングではない

プロフェッショナルは「ストーリー」で伝える


ここまで紹介した2冊で、ストーリーで伝えるとはどういうことかがわかったら、あとは実践あるのみです。
本書では、100を超えるストーリーテリングの実例を収録。スピーチ、プレゼン、営業、会議といったシーンで、共感や信頼、情熱を生み出す語り方を紹介していきます。「伝える」のではなく、相手に「伝わり」さらに「動かす」ことに主眼を置いているのが特徴。ストーリーテリングという手法以前の、話し方からマスターすることができます。

著者:アネット・シモンズ 著、池村 千秋 訳
出版社:海と月社
出版日:2012年12月03日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/book/1039

意外と簡単?ストーリーの創り方

ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン
人生・仕事・世界を変えた37人の伝え方


実践あるのみ!と言われても、事例を見ただけではなかなか自分ではできない。というのも、ストーリーを語る時には、個人的な体験や感情などを盛り込む必要があるため、模倣をするのが難しいのです。
そこで、次に手にとって欲しいのが本書です。イーロン・マスクやスティーブ・ジョブズ、シェリル・サンドバーグなど、スピーチの天才と呼ばれるストーリーテラー37名のスピーチを分析し、ストーリーの創り方を考案。順番に組み立てていけば、誰でもストーリーが創れてしまう、というわけです。小説家のようなスキルや能力は必要なし!あなただけのストーリーを生み出してみませんか。

著者:カーマイン・ガロ 著、井口 耕二 訳
出版社:日経BP社
出版日:2013年11月21日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/book/1079

戦略は、(本当は)おもしろい

ストーリーとしての競争戦略
優れた戦略の条件


中期経営計画から個人の目標設定まで、およそ「戦略」と名のつくものは、なぜか小難しくてつまらない。こんな印象を持っているのは、筆者だけではないと思います。なんと、国際企業戦略研究家である著者も、戦略はつまらないものが多いと思ってたうちの一人。そこで優れた戦略、おもしいろい戦略は何が違うのかと考えた結果、「ストーリーがあるかどうか」が選別基準になっていたといいます。
本書では、優れた戦略の条件、そして戦略に欠かせないストーリーの創り方までを、順を追ってわかりやすく説明していきます。また、スターバックスやDELL、アマゾンといった名だたる企業の事例やストーリーも豊富に盛り込まれていることで、読み応えもたっぷりです。

著者:楠木 建
出版社:東洋経済新報社
出版日:2010年05月05日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/book/265

記事作成:宮本 雪

本の要約サイト フライヤー

本連載は、1冊10分で読めるビジネス書の要約サイト「flier(フライヤー)」の記事をもとに再構成したものです。

フライヤー

ノマドジャーナル編集部
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