γνῶθι σεαυτόν(グノーティ・セアウトン)―汝自身を知れ

アポロンを祀っているデルフォイ神殿に刻まれていたといわれる語で、かの有名な哲学者・ソクラテスが行動上の指針にしていたとされている格言です。

大辞林(第三版)によると「自分が無知であることを自覚し、その自覚に立って真の知を得、正しく行為せよ。」という意味なのですが、実はいろんな解釈があるんです。
・自分がちっぽけな存在であることを知ることが、学びや成長に繋がる(辞書の解釈に近いもの)
・他人も含めた人間の精神や思考を理解すべきだ
・日常生活の中で関係する人々の性質を理解し、対応方法を学ぶことが必要だ
・・・などなど、少し調べただけでも、違った解釈がいくつも出てきます。

どれが正しいかという議論はさておき、共通しているのは、人を理解することが大事だということ。何を学ぶのか、どんな仕事をするのか、どうすれば早く成長できるのかなどを考える時に、人間や自分自身への理解がベースとなることは間違いありません。

そこで今回は、生物学的な「ヒト」の話から、自分自身を見つめる方法まで、理解を深められる本をご紹介いたします。

ホモ・サピエンスが生き延び、人類が繁栄した理由を紐解く

サピエンス全史
文明の構造と人類の幸福


本書が他の歴史本と一線を画しているのが、生物、物理、地理、歴史、政治史、文化人類学といった学問を「サピエンス」というテーマで一気通貫させているという点。そのおかげで、物語のように楽しみ、歴史を読み解くことができます。
また、専門書だと高度な知識が基礎にあることが必要ですが、中学レベルの知識やニュースで知る内容が理解できれば、問題なし。人類のルーツを知るなら、これ一冊でOKです!

著者:ユヴァル・ノア・ハラリ著、柴田 裕之訳
出版社:河出書房新社
出版日:2016年9月30日
詳細はコチラ→上巻:https://www.flierinc.com/summary/1061
下巻:https://www.flierinc.com/summary/1063

すべての行動は、遺伝子によって決められている?

利己的な遺伝子
増補新装版


世の中から争いがなくならないのも、協調する行為すらも、自らのコピーを増やそうとする”利己的”な遺伝子が引き起こしている、という著者の主張は、本書が最初に刊行された30年前には、大きなセンセーショナルを巻き起こしたそうです。
遺伝子が外見や性格に与える影響について広く知れ渡っている現在でも、こうした主張が色褪せることはなく、「ヒト」を知る上では必読の一冊。遺伝子に支配されていることの多さに驚く一方で、同じ遺伝子を持つ人が同じ行動を取るわけではないことに、新たな可能性や希望を見出すことができます。

著者:リチャード・ドーキンス著、日高 敏隆、岸 由二、羽田 節、垂水 雄二訳
出版社:紀伊國屋書店
出版日:2006年05月04日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/878

I for Japan;Japan for the World;The World for Christ;And All for God
(内村鑑三の墓碑銘)

代表的日本人


日清・日露戦争、足尾鉱毒事件そして、第一次世界大戦が勃発した激動の時代。そんな中で、時代に抗うかのように、日本人がみずからの天職をまっとうするように促す「預言者」的とも取れる発言を繰り返していたのが、内村鑑三です。
そんな彼が著したのが、西欧社会に対して西郷隆盛・上杉鷹山・二宮尊徳・中江藤樹・日蓮という5人の偉人を紹介する本。日本人の誇りを世界に示すがために書いたのでは、受け取ることもできます。内情はどうあれ、日本人として、日本の文化や思想を理解しておくことで、何らかの気づきが得られるはずです。

著者:内村 鑑三著、鈴木 範久訳
出版社:岩波書店
出版日:1995年07月17日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/219

Appleの美しいデザインも、禅から生まれた

ビジネスZEN入門


この本で紹介されている「ZEN=禅」とマインドフルネスは、よく混同されて語られていますが、本来は違うもの。マインドフルネスでは、不安な気持ちが解消されたり体が健康になったりといった、なんらかの効果を得ることを目指すのに対し、禅では見返りを求めません。
シンプルに自分自身を見つめ、余計なものを削ぎ落としていく。こうした禅の本質を学ぶことで、進むべき方向性が自ずと見えてくるでしょう。

著者:松山 大耕
出版社:講談社
出版日:2016年10月21日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/1134

才能の発見は「機会の有無」にかかっている(本書より)

才能を磨く
自分の素質の生かし方、殺し方


人類や日本人のルーツを知り、自分自身を見つめたら、最後の仕上げは、自分の本当の才能や情熱(=エレメント)を見つけること。これを見つけることができれば、正しい方向に努力をすることができます。
本書では、才能を見つける方法やエレメントを掘り起こすエクササイズとともに、さまざまな体験談を紹介。読み進めるうちに自然と、自分の内面を掘り下げていくことができます。

著者:ケン・ロビンソン、ルー・アロニカ著、宮吉 敦子訳
出版社:大和書房
出版日:2014年01月24日
詳細はコチラ→https://www.flierinc.com/summary/165

記事作成:宮本 雪

本の要約サイト フライヤー

本連載は、1冊10分で読めるビジネス書の要約サイト「flier(フライヤー)」の記事をもとに再構成したものです。

フライヤー

ノマドジャーナル編集部
専門家と1時間相談できるサービスOpen Researchを介して、企業の課題を手軽に解決します。業界リサーチから経営相談、新規事業のブレストまで幅広い形の事例を情報発信していきます。