「副業したいなー」って思って就業規則を調べたら許可制であることを知って困ってしまった方、結構いらっしゃるのではないでしょうか?

特に「副業する本当の理由は『もっとお金が欲しい』ということなんだけど、それを申請書に書くのは気が引ける・・・」、そんな方のために、どんな風に副業の許可を得る申請書を書けば良いのかまとめてみました。

副業の申請書ってどんなフォーマット?

会社の就業規則で副業が許可制と分かったら、副業を始める前に許可申請書を会社に提出しなければなりません。まず、いくつかネットで見れる副業の許可申請書を確認したいと思います。

ネットに公開されている公務員の副業許可申請書

民間会社の副業許可申請書のフォーマットはネット上には公開されていませんが、公務員向けの申請書はいくつかネット上に公開されています。その一部を以下に紹介します。

民間企業向けの副業許可申請書のサンプル

なお、一部の社会保険労務士事務所が民間企業の社員向けに副業許可の申請書を公開しています。例えば、以下の事務所などです。

申請書に記載すべき項目と内容

申請書のフォーマットは各官庁、自治体で異なりますが、記載すべき項目の多くは共通しています。いくつかの自治体のフォーマットを確認し、共通項目を洗い出して見ました。

1. 副業先の情報〜会社名、業種など〜

別の会社に勤務する場合、副業先の情報を記載します。

  • 会社名
  • 住所
  • 業種・事業内容
  • 職務内容

会社に勤務しないで自宅で個人事業主として働く場合、「個人事業主として副業を行うこと」「業務内容」「取引先会社名(副業の報酬を支払う会社名)」を記載します。

2. 副業先での働き方〜雇用形態、勤務体系など〜

別の会社に勤務する場合、副業先での働き方の情報を記載します。

  • 雇用形態(正社員、派遣社員、パート・アルバイト、嘱託など)
  • 勤務体系(勤務曜日、就業開始時刻・終業時刻、勤務時間、1週間または1カ月間の勤務日数)
  • 勤務開始日
  • 契約期間

会社に勤務しないで自宅で個人事業主として働く場合は、別の会社に勤務する場合から雇用形態を除いた項目について記載します。

3. 副業をする理由

副業をする理由は、会社の給与が少なく別の収入を得るためという理由が一般的かと思います。しかし子どもの受験費用、親の介護費用、資格試験のため費用などが必要だという理由を見つけ出して、できるだけ具体的に記載すると認められやすいでしょう。

また、本業に与えるシナジーも大きければ大きいほど認められやすい、説得しやすいと思います。

この部分は重要なので後ほど詳しく説明します。

4. 誓約

副業が認められるためには以下に該当しないことが一般的に必要です。そのため以下に該当しない副業であることを誓約します。

  • 本業の勤務に支障がないこと
  • 会社と同業の会社ではないので会社の事業に悪影響を与えて損失を生じさせないこと
  • 会社の信用を落とさないこと
  • 会社を利用した勤務・個人事業を行っていないこと
  • 会社の顧客情報・秘密情報、その他会社の内情を外部にもらさないこと

5. 本業における情報〜氏名(押印)、所属部門名など〜

最後に、「氏名(押印)」「所属部門名」「書類タイトル(副業許可申請書)」「申請書を提出する上司名」「申請日」を記載します。

申請書を提出してもNGになる可能性のある3つの例

主に副業先、副業で受ける仕事の内容に問題があると副業NGとなると言えます。

本業と競合するような副業

勤務する会社と同業の会社での副業、あるいは自分の業務と同じ業務で個人事業主として副業をして収入を得ることは会社の本業と競合するので許可されないでしょう。例えば具体的には以下のようなケースです。

  • ウェブ制作会社に勤めていて副業のために同業の会社に勤務すること
  • ソフトウェアの開発者が本業で開発しているソフトウェアと同じような開発を個人事業主として請け負うこと
  • 会社の販売する商品の仕入れを担当している責任者が、本業と同じ商品を販売する別会社を設立して販売すること

公序良俗に反する副業

例えば、キャバクラ、風俗営業の会社、クレジットカード現金化の提供会社、ねずみ講が疑われるレベルのネットワークビジネス会社、節度を逸した販売方法を採っているサプリメントの販売会社などテレビCMができないような会社へのダブルワークは会社の信用をなくすので難しいでしょう。

明らかに本業に支障が出る働き方による副業

副業の勤務時間が本業の会社の勤務が終了してから深夜遅くまで毎日であること。あるいは体力をすごく使う副業を毎週土日の2日間行うことは、疲れが蓄積して本業の業務遂行に支障出ると考えて会社が副業を認めるとは考えられません。

NG例から考える副業許可が出そうな理由の書き方

申請書には、副業をする理由を明記しなければなりません。「もっとお金が欲しい」というのが副業をする人の本音です。しかし、そのように書くと会社の給与が低いから副業するのかと取られて印象が良くありません。そこで、いくつか許可がおりそうな理由の書き方をご紹介します。

お金が欲しい理由に正当性をつける

一つの方法は、お金が欲しい理由に社会的な正義をつけることです。例えば以下のような理由が考えられます。

  • 子どもの教育費として「塾の費用」「趣味の習い事の費用」「海外留学の費用」など
  • 親の介護費用として「帰省費用」「家の改築費用」など
  • 資格取得やスキルアップ費用として「授業料」「通信講座費用」「パソコンなどの機材購入費用」など

本業とのシナジーをアピールする

二つ目の方法、あるいは、上記の理由に追加してつけると良いのは以下です。

  • 今のスキル別の角度から伸ばしたい
  • 違う環境での仕事を経験することで視野を広げたい

例えば、業務が流通業関係のソフトウェア開発者であれば、流通業の別の会社で現場の仕事を体験したいことを理由にします。あるいは広告の制作会社の広告制作担当であれば、広告を利用する立場の業務に従事することで「クライアントの奥深くにあるニーズを学びたい」と本業に生かせることが理由であることを訴求します。

本業に支障がないことに触れる

第三の方法は、あまり強調しない程度に本業の業務に支障がないことに触れると、会社に拒否する理由はないですよとアピールできます。法的な原則として会社の就業時間以外は社員が自由に使ってよい時間です。過度なアピールは禁物ですが、書く書かないにせよ、法的な正当性や社会の副業解禁の流れもどこかでアピールする必要はあると思います。

ウソは書かない

最後に理由を書く際の注意点としてまったくのウソはつかないようにしましょう。嘘は必ずバレると覚悟しましょう。副業が順調に行った時に、お酒の席で本当の理由をポロリとしてしまったり、高価な時計を見せびらかすなどついつい羽振りの良い態度を同僚を見せてしまったり、嘘がバレる機会はたくさんあります。

まとめ

副業を許可制で認める会社で副業をするときの申請書のフォーマットや書き方、および副業の許可が得られやすい書き方(表現の仕方)や注意すべきことについて紹介しました。

近年、副業を解禁する会社が増えてきています。隠れて副業をするよりもきちんと申告するとビクビクしないで副業をできます。また副業をする会社や業務を本業に生かせるようにすると能力アップできて本業の会社にも貢献できるので一石二鳥の働き方ができます。手順を踏まえて副業をしましょう。