カフェでノマドワークする人も大変多くなってきていると感じておりますが、今後もより一層テレワーク/リモートワークが広がってノマドワークをしたい人が増えていくと思います。そこで、ノマドワーカーの仕事術や持ち物、服装から仕事場の選び方などを実際にノマドワーカーとして活動しているフリーライターを例に、よりリアルな実践方法をご紹介します。
ノマドワーカーとは
ノマドワーカーとは
特定のオフィスや自宅ではなく、カフェやコワーキングスペースなど不特定の場所で仕事をする人
のことです。遊牧民を意味する「nomad(ノマド)」と「worker(ワーカー=働く人)」を組み合わせた言葉で、新しい働き方のひとつとして注目されています。
ノマドワーカー登場の背景
通信環境の進化やクラウドソーシングの普及などにより、パソコンやタブレットからネットにアクセスさえできれば、オフィスや自宅でなく出先でも作業ができるようになりました。そうした背景からノマドワーカーが登場し、徐々に広がりをみせています。
「ノマドワーカー」「フリーランス」「リモートワーク」の違い
オフィスや自宅ではなく外で働くと聞くと、「ノマドワーカー=会社に所属していないフリーランスの人」と思うかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。混同されやすい「ノマドワーカー」「フリーランス」「リモートワーク」の違いについても、説明しておきましょう。
- ノマドワーカー・・・オフィスや自宅以外の、不特定多数の場所で仕事をする人
- フリーランス(フリーランサー)・・・企業や団体、組織に属さない個人事業主や個人企業法人
- リモートワーク・・・自宅やカフェなどオフィス以外の場所で、遠隔で仕事をすること
ノマドワーカー
ノマドワーカーは企業に属している人もいます。例えば、出社義務がなくほとんどの仕事が出先でも可能なため、不特定多数の場所で作業をしている場合は、会社に所属しながらも働き方自体はノマドワーカーと言えます。
フリーランス(フリーランサー)
逆に、フリーランスでオフィスを持っている場合や、自宅を仕事場に定めて働いている場合もあります。その場合はノマドワーカーとは言いにくいでしょう。
リモートワーク
次に、リモートワークです。こちらはオフィス以外の場所で遠隔して作業することで、自宅も含みます。近年、自宅で子育てなどをしながら仕事を続けられるように、リモートワークを導入する企業も増えています。
ただ、中には自宅では集中できないため、別の場所で作業する人もいます。その場合は、「リモートワークをしているノマドワーカー」と言えるでしょう。リモートワークもあくまで働き方なので、企業に属している場合もフリーランスの場合もあります。
ノマドワーカーのメリットとデメリット
メリット
ノマドワーカーのメリットのひとつは「出勤」がないこと。満員電車に乗ったり、朝礼に出たりする必要はありません。基本的には服装も自由です。
精神的な面だけでなく、一人で作業に集中できる点や、雑事に時間や労力を取られずに作業を進められる点も利点です。また、フリーランスの場合は、事務所を構えなくて良いので経費の削減にもなります。
以上のように、自分のペースやスタイルで自由に仕事ができることがノマドワーカー最大の魅力です。
デメリット
まずは「自分を律することができるかどうか」です。
特定の場所に出勤しなくてよいということは、逆に言えばいくらでもサボれるということ。誰かが注意してくれたり、ハッパをかけてくれたりといったこともありません。そういった意味では、必ずしも職場に行くよりノマドワーカーの方が楽だとは言い切れません。
社会的信用や組織内での信用を得にくいこともデメリット。認知されてきているとは言え、特定のオフィスがなく不特定の場所で仕事をしているというだけで、怪訝に思う人もまだまだ少なくありません。
特にフリーランスのノマドワーカーは、仕事を発注する企業にとってみれば「どこで何をしているか分からない人」です。信頼関係を築くには、相応の実績や営業努力が必要になります。
また、企業に属しているノマドワーカーの場合、出勤している社員に比べ、他の社員とのコミュニケーション不足に陥りやすいという面もあります。
ノマドワーカーの実態
向いている職種・向いていない職種は?
ノマドワーカーに向いている職種は、ライターやデザイナー、ITエンジニアなどのクリエイティブ分野。パソコン1つで受注から納品まで可能で、場所を選びません。当然、カメラ機材や車を持っていれば、カメラマンもノマドワーカーに向いていると言えます。
向いていない職種は、パソコンやインターネットを使った作業が適していない仕事や、チームで動くことが前提となっている仕事、特定の機器や場所がなければ作業できない仕事などが挙げられます。前述したクリエイティブ職以外は難しい場合が多いでしょう。
どんな生活をしているの?
私はフリーランスのライターで、都内に自宅はあるものの、日中はほとんど外で仕事をし、入浴と睡眠のために家に帰る生活を約2年続けています。
朝起きて午前中に取材や打ち合わせ。カフェで昼食をとりつつ原稿を書き、午後も現場に行き、夕方はファミリーレストランで夕食をとりながら、閉店まで原稿や企画書を作成。締め切り日などは、漫画喫茶で一晩過ごすこともあります。
上はあくまで私の例ですが、多くのノマドワーカーが近い形で、取材先や打ち合わせ先などに合わせてフレキシブルにその日の作業場を設定しているのではないでしょうか。
〈ノマドワーカー実践〉準備編〜持ち物、服装、カフェの選び方〜
では、実際に持ち物や服装、さらにカフェの選び方などを、私のふだんの働き方からご紹介したいと思います。
1.カバンに入れるべき持ち物〜どんなものを持ち歩いておけば良い?
ノマドワーカーの3種の神器は「ノートパソコン」「パソコン充電器」「モバイルWi-Fi(ポケットWi-Fi)」です。これさえあればどんな場所でも仕事はできます。
ノートパソコンのおすすめ
ノートパソコンのおすすめはやっぱり「MacBook Air」。「MacBook Pro」と比べて薄く軽いので、持ち運びしやすいのが利点です。他には、マイクロソフト社の「Surfaceシリーズ」もディスプレイを取り外してタブレットにできるなど、場所を選ばずスマートに使えます。
充電器も忘れずに。
万が一電源のない場所で作業しなくてはならない時のために、モバイルバッテリーを持っておくとさらに安心。コンパクトで大容量のものを選びましょう。
「サンワダイレクト 大容量モバイルバッテリー」や「Advan Technology 大容量モバイルバッテリー」などが人気があります。
モバイルWi-Fi
外出先にカフェなどの通信環境が悪い場合もあるため、モバイルWi-Fiも必須です。リーズナブルなものだと「フリーテル ARIA 2」などがあります。
その他
スマートフォンやアプリも大事です。スマホは移動時の情報収集に活用できます。キュレーションサイトなど、自身が必要としている効率的な情報収集アプリを入れておくと便利でしょう。
また、バッテリーが長持ちするスマホがおすすめです。「フリーテル RAIJIN(雷神)」は約24日間連続待受を実現した大容量バッテリーを搭載おり、安心して使えます。
スケジュールを管理する手帳も、ノマドワーカーにとって重要なアイテム。作業場となるカフェのテーブルは往々にして小さいので、手帳も手のひらサイズからA5ほどの大きさを推奨します。「コクヨ ジブン手帳」はデザインがシンプルで使いやすく、私は毎年購入しています。
フリーライターならカメラとICレコーダーは携帯必須のアイテム。急な記者発表などにも対応できます。
2.服装や靴、カバンの選び方
続いて、服装や靴、カバンなどをみていきましょう。取引先や仕事関係の人に会わない作業日は何を着ても良いでしょう。
服装と靴
人に会うときはジーパンではなく、チノパンやスラックスに襟付きシャツ、ジャケットを合わすのが無難です。中にはフォーマルな服装が求められる取引先もあるため、ネクタイやスーツなどもすぐ着られるようにしておきましょう。
靴は作業日なら歩きやすいスニーカー、アポイントがあるなら革靴と使い分けるのがベターです。
その他服装で注意すべきは、作業スペースの室温。公共の場なので、人によって適温ではないこともしばしばあります。寒ければ上に羽織れるようなものを1枚持っていると安心です。
カバン
カバンは大きめのバックパック型がおすすめ。長時間外にいるので、参考書や筆記具、資料など荷物も多くなり重くなります。従って楽に移動できるカバンが重宝します。
3.カフェの選び方
電源サービスの有無
カフェ選びのチェックポイントは、何よりもまず電源サービスの有無です。長時間作業をする場合、パソコンの充電が必要になります。
Wi-Fi環境
次に、ポケットWi-Fiを持っていたり、テザリングができたりするなら問題はありませんが、Wi-Fi環境もチェックしておきましょう。特に重たいデータをダウンロードする時、電波速度の問題などで作業が滞る可能性があります。インターネットに接続可能な回線は複数確保しておくべきです。
作業台となるテーブルの大きさ
作業台となるテーブルの大きさにも注目。「代官山T-SITE」や「二子玉川蔦屋家電」のようなブックカフェスタイルは、居心地も良く1枚板の大きなテーブルがあるので作業はしやすいですが、混雑が予想されます。
東京近辺のオススメのカフェ
おすすめは「ストリーマーコーヒーカンパニー」です。渋谷、原宿、目黒など都内を中心に14店舗展開しています。また、日本初の定額制コーヒースタンド「コーヒーマフィア」も行きつけにしたいカフェ。月額2,000円で来店ごとにコーヒー1杯が無料です。現状、西新宿駅の近くに1店舗のみしかないことと、テーブルが小さいことに目をつぶれば重宝したい作業場です。
スタバは良いノマドワーク先?
ノマドワーカーの聖地とも呼べる「スターバックス」。もちろん良いノマドワーク先です。
メリットとしては、多くの店に電源席があり、「at_STARBUCKS_Wi2」というフリーWi-Fiが使えることが挙げられます。不慣れな土地でも、とりあえずスタバを見つければ安心というノマドワーカーも多いでしょう。
ただし、その分混雑することが多く特に電源席は埋まりがちです。また、基本的に禁煙なので、ヘビースモーカーにとっては辛いかもしれません。
カフェ選びはノマドワーカーの楽しみ
自分に合ったカフェ探しもノマドワーカーの魅力です。活動エリアから近く、求める条件がマッチした店舗を見つけるとテンションが上がります。
〈ノマドワーカー実践〉ノマドワーク編〜ドリンクと食事、電話の仕方、滞在時間〜
1.ノマドワーク先のドリンクや食事について
ノマドワーク先を1日の中で頻繁に変えるのは、作業効率やコストを考えると好ましくありません。極力長く仕事に没頭できる店選びが重要になります。
長居するなら、ファミリーレストランでドリンクバーを注文するのも良いでしょう。ファミリーレストランなら昼食や夕食も済ませることができます。
カフェは便利ですが、コーヒー1杯では足りないことも考えられます。安く済ますなら、ウォーターサーバーのある店舗をチョイスしましょう。軽食メニューがあるとさらに便利ですが、毎回外食だと食費もかさんでしまうため、早く仕事が終わった日は自炊をおすすめします。
また、企業に属している場合はもちろん、フリーランスの場合でも作業先のカフェなどのレシートを経費につけられる場合があります。レシートや領収書は捨てずにまとめてとっておきましょう。
2.ノマドワーク先での電話の仕方は?
基本的にカフェなど公共の場での電話は控えます。相手に気を使わせてしまいますし、雑音で大事な用件を聞き漏らしてしまうことも考えられるからです。
また、多くの時間をパソコンで作業していることや、昨今電話というコミュニケーション手段は相手の時間を奪う行為として議論されていることなどもあり、ノマドワーカーの主なコミュニケーションツールはメールやチャットです。
電話は特に重要な案件や緊急の案件の場合が主だと考えておきましょう。重要な案件を速やかに伝える電話は、移動の時間を使って静かな公園でまとめて済ますなど工夫が必要です。
3.長居しても平気なの?滞在時間は?
滞在時間については、ノマドワーク先の営業形態を確認しましょう。ブックカフェのように長時間の滞在を促すスペースなら、気にせず仕事ができます。反対にコーヒーチェーン店などは2〜3時間が限度でしょう。
大切なのは「自分が今座っている席は専有スペースではない」と認識すること。作業が終わらないからと言って、例えば席に荷物を置いて昼食に出かけたり、立ち読みにふけったりするのは、店側と利用者の両方に迷惑をかけます。
6時間以上の作業量が確定している場合は、最初から漫画喫茶やネットカフェで席を確保するのが一番です。1,500円程度で、誰にも邪魔をされない個室の専有スペースで仕事ができます。
ノマドワークライフを充実させるには
働き方が多様化し、ノマドワーカーも徐々に市民権を得てきたように思います。自由なイメージから憧れる方も増えているかもしれません。
ノマドワーカーという働き方を選ぶには、まず自分を良く知ることが大切です。何を目標にして、どんな仕事ならモチベーションを保って続けられるのか。反対に何が嫌なのか。「会社にいるより楽そうだから」という理由でノマドワーカーになっても、成功は難しいでしょう。ノマドワークは、自由の中で、自分を律するストイックな働き方です。責任もすべて自分にふりかかります。それでもやりたいと思えるほど好きな仕事を見つけられたかどうかが、重要になります。
まずは、どのような環境でも続けたいと思える仕事を探すこと。そしてそれが、ノマドワークという働き方にマッチしているかを検討しましょう。その上でノマドワーカーとして働くのなら、楽しいことこの上ないと思います。
執筆:佐藤 翔一