インターネットの発達により、近年急増している「ノマド」という働き方。これまでの「出社して仕事」といった一般的な働き方と異なり、「ノマド」は時間と場所にとらわれません。その働き方には多くの注目が集まっています。この記事では、そんな「ノマド」の語源やメリット、デメリットについてまとめてみました。

ノマドの語源はフランス語の「遊牧民」

ノマドとは英語で「nomad」、本来は「遊牧民」や「放浪者」を意味する言葉です。

ただ近年は「定住地を持たず移動しながら暮らす人」という本来の意味から派生して、「時間と場所にとらわれずに働く人、もしくはそういった働き方」として使われています。

また、上記のように働く人を「ノマドワーカー」と言ったり、「ノマドする」のように動詞として使用したりすることもあります。

今から10年以上前、フランスの大統領補佐官を勤めた経験もある経済学者ジャック・アタリは著書「21世紀の歴史」(2006年発刊)の中で、ノマドという言葉を使って「インターネットの発達によりクリエイター階級が時間と場所にとらわれず活躍する時代がくる」と解説しています。

現代は、まさにこの予言通りの時代が来ていると言っても過言ではないでしょう。

日本でノマドの概念が世間一般に広く認知され出したのは2010年前後で、ベストセラー「レバレッジシリーズ」で有名な本田直之氏や、情熱大陸にも出演した安藤美冬氏がノマドブームの火付け役となりました。

ノマドという言葉ははるか昔から存在していたものの、その存在や働き方が注目され出したのはインターネットが急速に発達してきたここ10年前後なのです。

ノマドとは具体的にどんな働き方をする人?フリーランスとの違いは?

ノマド(ノマドワーカー)の定義は、先ほど解説した通り「時間と場所にとらわれない働き方」(そういった働き方をしている人)です。この条件に当てはまれば仕事の内容に関わらず、誰でもノマドと言って差し支えないでしょう。

例えば、会社員であっても、その日の出勤が義務づけられていなければそれはノマドとなります。

しかし、現実にそうした働き方が可能な職種は限られています。そのため、世間一般ではパソコン1台持ってカフェで仕事をしたり、旅行中の飛行機や電車の中で仕事をしたりすることが可能な、ライターやデザイナーなどの個人事業主をノマドと呼ぶ傾向が強いです。

また、よくノマドと混同される「フリーランス」ですが、こちらは「自分のスキルで企業や個人と契約を交わし仕事をする人」のことです。

フリーランスの中にはノマド的な働き方をしている人もいれば、オフィスに常駐する人もいるため、「ノマド」=「フリーランス」とは必ずしも言えません。

簡単に言ってしまえば、ノマドは主に働く場所や時間が自由、フリーランスは主に働き方が自由、ということです。

ノマドのメリットについて

(1)生産性の向上

ノマドは働く場所と時間を選ばないため、労働環境を自分好みに改善することが可能です。これにより、本人次第でいくらでも生産性を向上させることができます。

(2)人間関係ストレスからの解放

ノマドワーカーは一般的な会社員とは異なり、上司や部下がいない個人事業主として働くことがほとんどです。そのため、わずらわしい人間関係のストレスで悩む機会はグッと減るでしょう。特に昨今問題になっているブラック企業で雇用形態や人間関係に悩んでいる人は、そのメリットを存分に感じることができるはずです。

(3)収入増加が簡単

これは人によって事情が大きく異なりますが、基本的にノマドは契約ベースで働くことが多いため、働けば働くほど収入が増加します。一方、会社員で月に1〜2万円の昇給をしようと思えば最低でも1年かかります。場合によっては「どれだけ働いても、どんなに長期間継続して勤めても昇給しない」といったことも。これはノマドの大きなメリットと言えるでしょう。

ノマドのデメリットについて

(1)厳しい自己管理能力が必要

会社員であれば、周りの目もありそこまで仕事をサボることはできません。また、一部成果報酬型の職種を除き、一般的には成果が上がらなくても毎月決まった額の給与が支給されます。

しかし、ノマドは仕事量はもちろん、交渉、モチベーションなどをすべて自分一人で管理する必要があります。そのため、自己管理能力が欠如している人の場合は怠けてしまい生産性が低下することも。

(2)社会的信用の低下

ノマドは比較的新しい働き方であるため、賃貸やクレジットカード、ローンなどさまざまな審査で会社員よりも不利な傾向にあります。私自身も独立当初は賃貸審査に連続で落ちた経験がありますし、実際に不動産業者から「独立したての個人事業主(ノマド)は会社員や公務員に比べて審査が通りにくい」とも言われました。

この傾向は東京や大阪といった都市部よりもノマドが少ない地方都市で特に実感します(著者は地方都市在住)。

まとめ

インターネットの発達により実現可能となった、これまでとは異なる新しい働き方「ノマド」について、言葉の意味やメリット、デメリットを解説しました。言葉の意味と実態を正しく把握し、「本当に自分が求めている働き方なのか?」を見極めていきましょう。なお、東京でノマドワークを具体的にする方法について『ノマドワーカー実践講座〜持ち物、服装から仕事場の選び方などリアルな実践例で紹介』という記事でまとめてますので、是非ご覧ください。

執筆者:河内 勝男

会社に勤めつつ2014年から副業を開始。2015年に会社を退職しフリーランスライターとして独立しました。会社員時代の副業経験を活かした記事はもちろん、ライター業以外にサイト運営もしているため、実践的なSEOやコンテンツマーケティングの記事執筆には自信があります。