ソフトバンク、リクルートを経て、多くの営業組織をみてきた営業ノマドによる連載第四回です。

「なぜ、あの人はいつも大型受注をしてくるのか?」そう感じたことはありませんか?営業ノウハウや技術はたくさんありますが、今日から使える受注単価を上げる”質問”があるのです。

受注単価を上げる質問「なぜそれをやりますか?」

営業をしている人なら誰しも大型受注をしたいと思ったことがあるでしょう。

大きな受注を上げた営業が会社に帰ってきた時の嬉しそうな顔、上司や同僚の賞賛、みんなと一緒に喜びながら、ちょっと悔しく思っている自分もいたりして「自分もそのうち・・・。」などと一度は思ったことがあるはずです。

大型受注をするために必要なことはなんでしょうか?

営業にはいろんなテクニックがあり、技術がありますが、こと受注単価に関してはシンプルです。

当然、受注単価の確定にはいろいろな要素が絡んできますが、最も影響が大きいことは「顧客が解決したいと考えている課題がどれくらい大きいか」です。これが見積もりの金額にダイレクトに反映します。大きさには様々あり、「大きさ」という言葉は非常に抽象的ですので具体例で示します。

例えば、あなたが印刷の営業をしているとします。印刷業界は非常に価格競争が厳しいので顧客は「あっちのほうが安いから値下げしてくれ」という要求ばかりです。

顧客側の視点に立って考える

では、それに対応して安い見積もりを出したらそれは顧客ニーズにかなった提案といえるでしょうか?

このとき、営業であるあなたが解決した顧客課題は「やることは決まっているけど、安いほうが担当者としてありがたい」という程度の内容です。この場合、仮に受注単価が通常の仕事に比べて高かったとしても粗利は非常に低いものになってしまうでしょう。

理由は簡単です。冒頭でも書いた通り、解決した課題が非常に小さいからです。

このケースで扱う印刷物が顧客の営業が持ち歩く商品パンフレットだったとした場合、課題の範囲が小さい順に顧客の課題は

「安くしたい」「良いパンフレットを作りたい」「良い販促物を作りたい」「より高い売上を上げたい」「より大きな利益を上げたい」「事業をもっと大きくしたい」

となります。顧客側の視点に立って考えていただければわかると思いますが後に書いたものほど大きな課題であり、見積もり単価は高くなり、また、担当者の肩書も上がることも多くなるでしょう。

「目的を聞くこと」を繰り返していくと必ず「事業をどう展開していくべきか」という課題に繋がる

では、このケースでどのようにコミュニケーションを取っていくとより大きな課題に取り組ませてもらえるでしょうか?

もちろん、多くの手法がありますし、これだけでうまくいくとは限りませんが、私が一番使い勝手が良いと感じているのは「目的を聞くこと」です。

「この印刷物は何のために作りますか?」と聞けばおおよそお客様は答えを教えてくれます。先ほどのパンフレットの例で言えば「営業が今、個別に資料を作っているのだが、経験の浅い者が多く、うまく機能していないので熟練営業のノウハウを元にしたパンフレットで営業の標準化をしたい」といった回答が返ってきます。

「であれば、~という要素は入れられた方がいいですよ」といった提案をします。

そこでお客様から「じゃぁ、ちょっと内容の相談をさせてくれ」といった返事があればこれが解決を求められた課題が大きくなった瞬間です。分からないと答えられることもありますが、その時は上席の人に会うチャンス!「であれば、そのあたりを考えられた方と相談させてください。」といえば、(信頼されていれば)会わせてくれるでしょう。

これを繰り返していくと必ず「事業をどう展開していくべきか」という課題になります。より大きな課題であればより大きな予算が必要になり、受注単価は上がっていきます。

受注単価を上げる質問は今日から使えます。

「なんで、それをやるんですか?」「どうなったらその仕事は成功ですか?」

是非、活用してみてください。

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専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。

ノマドジャーナル編集部

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