ソフトバンク、リクルートを経て、多くの営業組織をみてきた営業ノマドによる連載第七回です。

前回までは営業の基本的な心構えについて触れてきました。今回は営業戦略について具体的にお伝えしていきます。

大企業とベンチャーではそもそも営業戦略が違う

大企業の営業戦略を考える場合であれば、それ相応のマーケットリサーチの上、競合に確実に打ち勝つ施策を考えることになりますが、創業したばかりのベンチャーにはそのような予算も時間もありません。仮にあったとしても、そこに資源を投入すべきではないと考えているでしょう。

理由を一言で説明すると、影響する人員の数が圧倒的に違うからです。ベンチャー企業が策定した営業戦略をもとに営業活動を実施するとして、そこに関わる人数はせいぜいが4~5名程度でしょう。場合によっては1~2名かもしれません。

それくらいの人数であれば、最初に考えた営業戦略が間違っていたことが明らかになり、変更を強いられる場合でも(基本的に最初に考えたプランがうまくいくことはほとんどないので、必ず変更を強いられると考えて良いでしょう)そのメンバーで話しあえば十分に伝わるのです。これが、30名や50名を超える人間が動く場合、営業戦略の変更をメンバーに浸透させるには時間がかかるため、いかんせん慎重にならざるを得なくなります。戦略の変更が最小になるように予め綿密な計画を立てておくことが必要なのです。

逆にベンチャーであれば軌道修正が簡単なので、実行して得られる結果を見て決めれば良いと言えますし、経験数を増やすことを最重要視すべきだと思います。

営業戦略を立てるとは「見込み」を立てる作業

とはいえ、最初に見込みを立ててから初めないことには「結果」が良い結果なのか、悪い結果なのかすらわからないのです。

ベンチャーにとって営業戦略を立てるとはこの「見込み」を立てる作業と言えるでしょう。

よく言われることですが、この「見込み」立て→「結果」判明→改善した「見込み」立てのサイクルをどれだけ高速で回すことができるかが、ベンチャーにとっての営業戦略のキモだと思います。

営業戦略は、以下のポイントで考えるとわかりやすいです。

 

  • (1)ターゲット設定(顧客課題と自商材のマッチングは可能か?)
  • (2)リスト作成(ターゲットが市場のどこにいるか?)
  • (3)アプローチ(どのように接触するか?)
  • (4)商談(接触から受注までをどのように運ぶか?)
  • (5)フォロー(フォローから次の受注までをどのように設計するか?)

ターゲットを設定のコツは視点を入れ替えてみる

今回は1.ターゲット設定についてご紹介します。

私は営業という仕事は「課題がある人」に対して、自社の「商品・サービス」を届ける情報流通業であると考えています。したがって、ターゲット設定も課題側(顧客側)と商品・サービス側(自社側)からと両面から考えられます。

課題側から考える場合は下記のような点を考えると良いでしょう。

 

①顧客が対価を払ってでも解決したい課題は何か?

→既に予算化しているものを効率的に行うことで予算獲得が可能。(ただし、顕在ニーズの刈り取りはこちらの介在価値が低いため利益は薄いことが多い)

・顧客は気づいていないが、解決することでコスト削減又は売上向上になることは何か?(顧客にニーズ意識がないため、課題に気づいてもらうことからの営業になるが、受注後の利益は厚い事が多い)

 

②同じ課題があると想定される会社が一定数以上あるか?

→リストに対する受注率が1%程度と考えると100社以上リストがないと1件以上の受注は見込めないということになる。目の前の顧客の課題(=発注額)が大きかったりするといかにもマーケットが大きいように感じてしまうことも多いが、「その課題は普遍的なのか?(=マーケットサイズは十分か)」ということを見落としてはいけない。

 

逆に商品・サービス側から考える場合は下記のように考えるとわかりやすいでしょう。

 

①その商品・サービスを知った瞬間に購入を決定してしまうような顧客は誰で、どの機能が(サービスが)顧客をそう思わせるのか?

→力の限り営業しないと売れないような商品・サービスは根本的には必要とされているとは言いがたい。適切な顧客に適切な商品説明で売れるのが理想の営業である。営業戦略の立案において「俺が行けば売れる」は禁句中の禁句である。

 

②そのような顧客はどこにいて何をしているのか?

→営業戦略と言った場合に「どこにも存在しない人」をターゲット設定してしまうことは多い。「どの業種のどんな職種・役職の人」があなたの「商品・サービス」を必要としているのかを事実を元に考えることが大事である。

 

上記はあくまで考えるヒントですが、課題側から考えてみたものを商品側から考えて、具体的なターゲットを設定していくことは、営業戦略立案において重要なポイントです。このターゲット設定に関しては、何度も視点を入れ替えて考え抜くことをお勧めします。

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専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。

ノマドジャーナル編集部

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