~今の目の前の仕事で、今の環境で、必死に積み上げる信頼売り込みよりも、「選ばれる」ための活動を築いていこう~

数多くの講師・コンサルタントをみてきた、研修・セミナープロデューサーの原 佳弘氏による「選ばれるコンサルタント」連載。

前回のコラムは、「コンサルタントに必要な信頼性をどう積み上げていくか!?」という内容でした。コンサルティングというビジネスを獲得するにあたり、「信頼」は非常に重要であり、その信頼をどう得ていくのか、というお話でした。

前々回の「専門性」と前回の「信頼性」。この2つを備えた上で、いよいよクライアントの獲得、営業についてのお話をしたいと思います。

コンサルタントの営業に必要なスタンスとは?

「コンサルティング」という商品は、普通には販売していくことが難しいものです。目に見えないものであり、成果を示しにくいものだからです。そして、一般的には高額商品です。またそして、「コンサルティング」を提供するコンサルタントという存在に対しては、「玉石混合であり、怪しい人が多い、見極めが難しい」と感じている方も多いのも事実です。

だからこそ、専門性は何か?その専門性を担保する経験・経歴は何か?信頼に値する言動をしてきたか?ということをお話してきました。

では、いざ営業活動だ!ということですが、何から始めたら良いのでしょうか。普通の営業活動として考えると、まずは見込み客を集める必要があるでしょう。ただし、独立したばかりでは、その「リスト」はゼロの状態のはずです。 また、リストが少しあっても、その中から「営業の対象となる方」は少ないでしょうし、ましてや「仕事を頂戴できる方」となると僅か、ということが現実だと思います。だからこそ、前回のコラムでもお伝えいたしましたが、独立して数年は「紹介」ルートが非常に大事になるはずです。独立したばかりのコンサルタントに、ご祝儀的にお仕事をくださる方もいらっしゃるでしょう。また、ご厚意で人や会社を紹介してくれる方もいるはずです。一緒にやろう!と声をかけてくれる先輩もいらっしゃるはずです。

しかし、残念ながら「紹介」はコントロールできません。これが非常に難しいトコロです。こちらから「紹介」を依頼することはいくらでもできます。しかし、その活動が本当に効果的な「紹介」を生むかは全く別物です。そして、あまりにシツコク、強くお願いし過ぎると・・・。紹介してくれようと考えている方々に、「あのコンサルタントは仕事欲しい気持ちが強すぎるね・・・」と敬遠されてしまうかもしれいかねません。

同じように、クライアントに対しても、強すぎる「売り込み」はかえって悪影響となる。コンサルタントの本来の業務から考えてみると理解できるでしょう。コンサルタントは、企業の問題解決がミッション(役割)です。自分の専門性が発揮できる分野で、問題解決という価値提供をしていきます。ですので、企業に問題が発生していないタイミングや、テーマ・内容がズレている状態で、無理に売り込みをしていっても、クライアントの社長や部長さんは、「あ、そう。分かった分かった」と「今は必要ない」としか感じないはずです。困った時、問題が優先課題となった際にコンサルタントに依頼していくもの、それがコンサルティングというビジネスでしょうです。

だからこそ、コンサルタントは、「売り込む」より「選ばれる・依頼される」ポジションである、とお伝えしてきました。

独立コンサルタントとしての「セルフ・ブランドを」!

では、「選ばれる」ためには、どうするか?

相手に「選んで頂く情報・素材」を提供し、自身が望んでいるイメージを持っていただくことが必要でしょう。

そこで、必要な考え方が「セルフ・ブランディング」です。

「セルフ・ブランディング」とは、Wikipediaによると、「企業や組織に所属しない個人が、自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること」と説明されています。一言で言うと、「あのヒトはこの専門家だよね」と、相手の中にイメージができている状態を指すのでしょう。

そのために、”専門性”は何か?それを証明する過去の経験、実績は何か?といった情報や、”信頼”につながる、過去の実績、プロフィール、肩書などの情報を提供していくのです。

だからこそ、第2回で取り上げたように、自分自身の過去の経験や経歴をキッチリ棚卸しし、専門性や信頼性の証拠・説明となる情報を用意しておく必要があるのです。どんな実務経験をしてきて、どんな専門性を獲得したか、その結果、自分は「何のテーマ・ジャンルの専門家なのか」を明確化しておくのです。

この「セルフ・ブランディング」。実践できているようで、なかなか難しいものです。事実、取り組んでみると分かるのですが、自分で自分を知ることはとても難しい。自分の強みは何か?自分が他者と違う点は何か?そして相手に与えたいイメージは何か?なかなか客観的に、かつお客様目線のキーワードを出して行くことが難しいものです。(詳細は、一般財団法人 ブランド・マネージャー認定協会のコンサルタントの記事を参照ください。https://nomad-journal.jp/archives/560

繰り返しになりますが、コンサルティングは、売り込みより、選ばれる・依頼される仕事です。そのためには、相手からどう見えているか、どう感じ取られているか、それがそのまま選ばれるかどうか、につながる。売り込みしたい気持ちはよく分かります。そこをグッと抑えて、違う形での情報発信=セルフ・ブランディングをしていくのです。

ここで大事なのは、「相手からどう見えているか」をチェックしていくことです。いくら自分が専門性ある、信頼性があります、と訴求しているつもりでも、相手からどう見えるか?こればっかりは自分では分かりません。そのためには、仲の良いお客様に聞いたり、知人友人に自身のイメージを聞いてみるなど、定期的にチェックすることが必要でしょう。

コンサルタントの”正しい”営業先とは?

「セルフ・ブランディング」が出来たとしても、1つ大きな落とし穴があります。

多くのコンサルタントが間違えてしまうのが、「コンサルティングを発注する権限がない方」にまで、不必要な活動を行ってしまうことです。

とにかく、多くの方に自分の専門性を伝えたい、紹介の可能性を拡げたい。気持ちはよく分かります。しかし、いくらサラリーマンの平社員や経営に程遠い方向けに、セミナーや交流会を必死にやっていても、どうでしょうか。経営者が来ない異業種交流会に参加して、一生懸命名刺交換をしても、なにか生まれるのでしょうか。これらは、残念ながら、効果的な成果には結びつかないでしょう。

 コンサルティングは、会社の方向性を決める重要な施策です。当然、企業の代表である経営者、意思決定をできる経営層が訴求対象となるはずです。彼らに直接、自身の価値を伝える機会が絶対に必要です。

つまり、正しい相手にこそ「セルフ・ブランディング」を効果的に伝えることが大事なのです。私が多くのコンサルタントを見てきて、この3つの中で以外と陥りがちだな、と感じるのが「正しいターゲットに」という点です。

今回の第5回まで、私なりに多くのコンサルタントを見てきて感じた点を、忌憚なくお伝えしてきました。色々なキーワードをお伝えしてきました。

「棚卸し」「専門性」「信頼性」「セルフ・ブランディング」「正しいターゲティング」。

そして、一番大事な事は、コンサルタントになってからのことではなく、独立する前の事ではないか、と感じています。目の前の仕事に一挙手一投足プロ意識を持って、全力で取り組む。これが、重要なのではないか、と感じています。

次回からは、実際に活躍しているコンサルタントが毎回登場します。彼らの生々しいリアルな話からも、是非、感じ取って頂ければ、と思っております。

【専門家】原 佳弘
Brew(株) 代表取締役  セミナー/研修プロデューサー
1973年生まれ。中小企業診断士。横浜市立大学卒業後、建設市場のシンクタンクにて経営企画を担当。その後、法人向けセミナー・企業研修を行う会社へ転職。階層別研修から営業、マーケティングなど専門領域の研修設計、セミナー企画実施を10年以上行う。
 2014年、Brew(株)設立。300人以上の講師・コンサルタントネットワークから「最適講師の提案」、顧客の課題解決につながる研修やコンサルティングを「ゼロから設計」して提供している。東洋経済オンライン、ハーバービジネスオンラインなどでも執筆。
著書には、「研修・セミナー講師が企業・研修会社から”選ばれる力”」(同文館出版)がある。
ノマドジャーナル編集部
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