データを武器にした課題解決家 柏木吉基さんに聞く

数多くの講師・コンサルタントをみてきた、研修・セミナープロデューサーの原 佳弘氏による「選ばれるコンサルタント」連載。

2回目のリアルトークに登場していただくのはデータを武器にした課題解決家 柏木吉基さん。日立製作所、日産自動車を経て独立した「プロの実務家」の柏木さん、どんなヒストリー、想いで専門家になっていったのでしょうか。

後編は、独立して活躍していくためにはどういったことをサラリーマン時代からしていたことが役に立ったかについて伺っています。

組織の中で自立してリスクテイクをしていく。それが独立につながった

Q:柏木さんは、サラリーマン時代から会社の業務や自分の役割を、一歩超えたところまでを考えて行動するようにしていたことが、今のプロの実務家としての人材育成の仕事につながったと伺いました。
仕事を受け身にならずに、常に批判的なものの見方や、自分なりの評価を付けるといった一歩先に進んだ行動を自主的にしてこられたのですね。組織の中では、そこまで突っ込んだことをすると、嫌がる人もいませんでしたか?

柏木:

そういったことをするには、それなりのリスクが伴いますが、自分でおしりを拭く覚悟と準備があれば良いのです。実際のところ、独立してからのリスクに比べればこれらは比になりません。逆に、ここでリスク耐性を養うのも悪くないと思います。組織の中で自立してリスクテイクすらできないようであれば、独立してからは恐らくやっていけません。是非独立前に、自分の組織で自分の適性を試してみることをお勧めします。お金もらいながら、ローリスクで挑戦できるのですから。

Q:とても興味深いお話です。もう少しお聞かせ頂けませんか?

柏木:

組織の中で「当然こうだ」と思われていることに、敢えて疑問を投げかけ、より良い代案を出す。出したら自分でそれを実現させるべき「お尻を拭く」。そのために必要な人間を巻き込み、組織と人を動かして実現させること、だと思っています。もちろん、普段の日常業務の枠などは圧倒的に超越した次元でやります(日常業務の改善レベルではないという意味です)。

Q:例えばどういったことでしょうか?

柏木 吉基氏(以下、柏木):

例えば、毎週「営業日報」を書いているとしましょう。その日報、本当に必要なのでしょうか。今書いている内容は本当に最適なものでしょうか。今のやり方が営業業務にとって本当に有効なのでしょうか。そもそも営業部門を自社で抱えていることは妥当なのでしょうか。これに全て論理的に答えられるかどうか。答えられないとすれば、「リスクテイク」して、組織を動かす余地がある、ということです。

実はこれは、私が新卒で入社以来ずっとやってきたことです。年々その中身はグレードアップしていきましたが、そうやって「自分の力」が何かが見えてきた気がします。

「サラリーマンを頑張ってきた」延長上には、「独立コンサルタントしての成功」はない

Q:柏木さんのように「実務の現場で成果に繋げていく」ために、独立前に何をしておく、あるいは心がけておくべきでしょうか?

柏木:

第一には、他者に勝る自分の強みは何か、を明確に語れるようにすることだと思います。これは「自分がやりたいこと」とも違うような気がします。あくまでお客様目線で「他人ではない自分が貢献できること」なのかと。それを自分なりに日々の業務に完全に流されずに見つけていくことではないでしょうか。そして、それは自己満足ではなくて、第三者的に見て分かり易いレベルにまで昇華させることが必要です。

それは分かり易い実績かもしれませんし、組織内でのポジション(例えばその道で管理職になり、管理職としてXX年の実績ありでもよいかも)などでも良いかもしれません。

Q:「やりたいこと」より「求められること」さらには、「自分が勝るもの」は何か、とういことですね。

柏木:

そうです。「何となくサラリーマンを毎日頑張ってきた」延長上には、「独立してコンサルタントとして成功」は難しい、という思いがあります。

目の前の業務に疑問を持つ。疑問を持ったら、他人を巻き込んで変化を起こし、成果を出す。成果を出したら、それを自分なりに一般化、体系化しておく。それを繰り返しながら自分の武器の引き出しと経験値を積む。結果的に、それなりのポジション(少なくとも管理職)となり、社外から見ても、分かり易い実績を創り出している、という状況が「独立GO!」の状態ではないでしょうか。

その意味で、私は常に「選ばれない」プロを目指しています。「選ばれる」というのは、他にも同じような仕事ができる人の中から、毎回何かしらの基準で選別される立場にある人のことです。そうではなく、自分でしか提供できない価値を持つ人材になれれば、「選ばれる」ことすら超越できると考えています。

目の前の仕事も結果も、一歩引いて一般化してみる

Q:組織の中で、挑戦してみる、成果が出たのであれば、その成果を整理しておく、ということですね。

柏木:

はい。端的な例で言えば、「やれ!と言われてもいない大きな仕事を自分でぶち上げて、成果を形にしたことがありますか?」にYESと即答できなければ、まずこれを社内でやってみることをお勧めします。

当然時間は掛かります。そして、単なる「努力」だけではなく、目の前の仕事も結果も、一歩引いて自分で一般化して纏めてみることを日々繰り返すことが、独立への最短ルートではないかと思います。

Q:最後に、柏木先生の今後の夢、将来像などはいかがですか?

柏木:

自分のサービスを「日本」という枠に限定することなく、広く海外にもつなげていけたらと考えています。そのために、大学では自分のプログラムを英語で行い、既に外国の学生にも講義をしています。プログラムの内容を「日本仕様」にするのではなく、「グローバル仕様」になるように気を使っています。「ガラパゴス」にならないように気を付けながら、準備を進め、これを広く海外で必要とされるところにもご提供できることが次のゴールです。これができるのもやはり自分のグローバル企業でのサラリーマン経験の賜物だと感謝しています。 

Q:本日はお忙しいところ、貴重なお話ありがとうございました。

<後記>

「サラリーマン時代の経験が全て」という一貫したお考え、そして「サラリーマン時代にどれだけ、クリティカル(建設的な批判視点)で仕事に取り組んできたか」

柏木先生がどんなキャリア、ポジションでも挑戦されてきたことがよく分かりました。

私自身も、このコラムの初回で「サラリーマンの時に、目の前の本業で圧倒的なプロになること」という記事を書きました。柏木先生にも同じようにおっしゃって頂いて、共感したとともに、私自身も、姿勢を正させられる想いで伺いました。

やはり、 これからコンサルタントを目指される方には、不可欠なアクションなのだな、と感じたインタビューでした。

【専門家】柏木 吉基
データ&ストーリーLLC 代表・多摩大学大学院 ビジネススクール客員教授・横浜国立大学 非常勤講師
大学卒業後、日立製作所にて海外向けセールスエンジニア。
米国にてMBAを取得後、2004年日産自動車へ。海外マーケティング&セールス部門、組織開発部ビジネス改革マネージャ等を歴任。
グローバル組織の中で、ロジックとデータを武器に数々の経営課題プロジェクトをリードした実績を持つ実務課題解決家。
2014年10月独立。http://data-story.net
【専門家】原 佳弘
Brew(株) 代表取締役  セミナー/研修プロデューサー
1973年生まれ。中小企業診断士。
横浜市立大学卒業後、建設市場のシンクタンクにて経営企画を担当。その後、法人向けセミナー・企業研修を行う会社へ転職。
階層別研修から営業、マーケティングなど専門領域の研修設計、セミナー企画実施を10年以上行う。
 
2014年、Brew(株)設立。300人以上の講師・コンサルタントネットワークから「最適講師の提案」、顧客の課題解決につながる研修やコンサルティングを「ゼロから設計」して提供している。
東洋経済オンライン、ハーバービジネスオンラインなどでも執筆。

著書には、「研修・セミナー講師が企業・研修会社から”選ばれる力”」(同文館出版)がある。
ノマドジャーナル編集部
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