新しい働き方が注目されています。その関連するキーワードで、聞きなれない言葉も飛び交っていますが、こちらの記事では、それらの新しい働き方にまつわるキーワードを取り上げて解説していきます。
今回は、「インディペンデント・コントラクター」、日本語への直訳でも「個人事業主」を指す言葉とイメージしやすいワードです。実は目新しい言葉ではないですが、ネットインフラの整備、クラウドコンピューティングの普及や個人事業主向けサービスの増加に伴い、近年の働き方への注目と共に目にすることも増えてきています。国内ではインディペンデント・コントラクター協会も立ち上がっており、新しいワークスタイルとして注目を集めています。
また、米国では、インディペンデントワーカーは約3,000万人に達するとしており、2019年には4,000万人に達するとみられています。
上昇する「個人事業主」に関する注目度
実際のところ、新しい働き方に関するワードは注目されているのでしょうか?
検索ワードとしての「個人事業主」の人気度をみていくと、過去10年でみても、一定水準で推移していたのが、2014年ごろから上昇トレンドとなっていることがわかります。
「個人事業主」の人気度の動向
出典:Google Trends(検索キーワード「個人事業主」2015年9月21日時点)
個人事業主に関する記事の内容としても、「Webやクラウドを使いこなす個人事業主が増えることでの、日本経済に与えるインパクト」に関する記事や、「個人事業主向けの確定申告代行サービス」や「個人事業主向けのクラウド会計ソフト」といった、個人事業主向けのサービスについての記事が増加しています。
つまりこれらのワードの注目度上昇の背景として、クラウドやWebを活用することで個人事業主としての働き方が変わってきたことや、クラウド会計、クラウドソーシングなど個人事業主向けのサービスが増加してきたことがあげられます。
インディペンデント・コントラクターとは?複数企業で働く個人事業主
インディペンデント・コントラクター(以下、IC)とは専門性を備え、プロジェクト単位で契約を複数の企業と結んで活動する「個人事業主」の事を指します。「Independent Contractor」の略でICと呼んだり、直訳して「独立業務請負人」と呼んだり、「プロワーカー」などと呼んだり、呼称は様々です。
インディペンデント・コントラクターの働き方とは?
ICは雇用形態にはまらず、プロジェクト単位で複数の企業と契約して請け負っていく、サラリーマンでも事業家でもない働き方です。
「必要な時に必要なだけ」プロジェクトに参加し、ベンチャー企業としてIPOを目指すわけでもなく、自宅を中心に自分のペースで働くSOHOとも一線を画するICは「雇われない、雇わない」フリーエージェントとしてのビジネスマンの新しいワークスタイルです。
知識労働者は、組織の垣根を超えて働くことが求められる
昨今、知識労働者の労働寿命が延びている一方で、グローバル化や競争激化に伴い、組織の平均寿命が短くなる傾向にあります。そうなると、知識労働者は労働寿命を一社の中で終わることがない、終身雇用を前提としない中で、組織を超えて働いていくことを前提にキャリアを構築していくことが求められます。つまり、会社の垣根を超えて個人の価値観軸で自身のキャリアを設計していくことが必要となっていく中で、ICとしての働き方はより注目を浴びつつあります。
インディペンデント・コントラクターとして働くために、連続スペシャリストになる
改めて、インディペンデント・コントラクターとは、高度な専門性を持ち、組織から独立して個人の価値基軸で意志決定し、会社の垣根を越えて仕事をしていく働き方です。このような働き方を実現する前提としては、専門性を有していることがあげられます。
- ワークシフト:専門性の連続的な獲得
「働き方の未来」を考察した書籍「ワークシフト」(リンダ・グラットン著)でも、連続スペシャリストになることの必要性が説かれています。すでにもっている自身の専門性に安住することなく、専門性は連続的に獲得し続けていくことが重要です。そのためにも、より自由度がある中で、新たな専門性の獲得のために仕事の機会を選択できるインディペンデント・コントラクターとしての働き方は効率的といえます。
企業(発注者)としてインディペンデント・コントラクターを活用するメリット
- 専門性をピンポイントで活用
企業側が発注者としてICを活用するメリットとしては、専門性に特化した人材をミッションにピンポイントで活用できる事にあります。テーマによっては、ニッチな専門性で社内人材の育成にそれほどの時間とコストをかける必要性がない、かといってそのために人材を採用するほどでもないようなプロジェクトがあった場合に外部人材の活用が効果的です。
- 低コストでの流動性のある人材活用
雇う側からみるとICが有効活用できる仕事というのは、必要な専門知識や遂行能力のレベルが高いにも関わらず、そのためにフルタイムの正社員を雇うほど仕事量がない業務や一定期間のプロジェクトなど、流動的に専門性のある人材を活用できるメリットがあります。これらは、特に業務に必要な専門性が細分化された現代では、メリットのある人材活用方法であるといえます。逆に、雇用となれば一定の採用プロセスが必要であり、時間とコストをかけることになり、安易な意思決定はできません。
- 企業文化へ多様性をもたらす
ICであれば、企業に多様性をもたらすことにも貢献できるかもしれません。ICの活用においては、スキルや同じプロジェクトで連携できる人材かを確認できる必要はあるものの、企業文化に合うかといった点をそこまで考慮する必要性がないため、多様なバックグラウンドの方を期間限定で活用できます。企業もしばらくすると同質性のある人材が多くなる傾向にありますが、ICであれば、社内とは異なるタイプの人材と一緒に働く機会になります。凝り固まった企業風土に新たな流れを呼び込むきっかけとなるかもしれません。
インディペンデント・コントラクター協会
なお、特定非営利活動法人でインディペンデント・コントラクター協会が存在します。
同協会は、IT関連のエンジニアや教育の専門家、事業コンサルタント、フリーランス・ライターなど、独立した業務請負人で構成されている組織です。活動の目的として、ICという働き方を広く認知普及させることや、会員IC同士のつながりを広げる場づくりを掲げており、2003年にNPO設立登記し、正会員数は2014年12月で106名ほどです。会員向けサービスとして、後援会・勉強会の開催や協会HP上での各会員の業務内容の紹介、税務・法務相談会やICスタートアップセミナーなどを実施し、独立志向者やすでにICとして活動している方々の支援もしています。
IC向けのプロジェクト仲介サービス
その他、IC向けに特化したプロジェクトの仲介サービスとして、株式会社サーキュレーションが事業を展開しています。同サービスではICを中心とした登録者に対して、人事制度改革、広報戦略、IPO準備やサービス企画など様々なテーマでのプロジェクトを紹介しています。
サーキュレーションでは同社におけるプロジェクトを受注するICをビジネスノマドと定義づけて、その働き方について以下のように紹介しています。
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