ソフトバンク、リクルートを経て、多くの営業組織をみてきた営業ノマドによる連載第八回です。

独立、個人事業主として一歩を踏み出すにあたって、必要なのは「名刺」です。

名刺の印刷に便利な、印刷通販サイト、ノマドの方々もこれらのサービスを有効活用して、個人での独立のコストも大幅に削減できます。今回は、そのような便利なサイトの利用についてのコラムです。

最近はいくつもの「印刷通販」サイトがテレビCM含めた広告出稿を行っており、誰しも一度は目にしたことがあるでしょう。その魅力はなんといっても価格ですよね。経費節減のため、利用を考えたことがある人が多いと思います。とはいえ、そのあまりの価格の安さに「何かあるのではないか?」「任せて大丈夫なのだろうか?」といった不安があり一歩踏み出せない経営者も多いのではないでしょうか?

今回は番外編としてその安さの理由と利用する場合のポイントを解説していきます。

なぜ、印刷通販は安いのか?

印刷通販が安い理由は大きく分けて2つあります。もちろん、個社ごとに少しずつコスト削減の背景は異なるのですが、下記の二つは各社共通しているといって良いでしょう。

1.受付がWEBなので訪問する営業のコストが削減できる

こちらはわかりやすいでしょう。営業マンがいらない仕組みなので、その分のコストを印刷費から削減できます。その分、価格が抑えられています。

2.複数の印刷物を同時に印刷することで少部数の印刷物でもスケールメリットを得る

こちらは少し説明が必要でしょう。かなり乱暴であることを承知で、単純に説明させていただくと印刷するということは、「大きな印刷用のハンコ」を作って紙にハンコを機械で押す工程です。

印刷通販で主に使われている1,000部前後の小部数印刷においては、この「ハンコ」の制作費が原価の大半を占めているのです。(この「ハンコ」のことを「版」と言います。)通常は一つの印刷物を作るのに1つの版を作るのですが、印刷通販では大量の印刷物を集めて「複数の印刷物用の版」を作ります。

普通の印刷会社も同じことをすれば良いと思われるかも知れませんが、この「複数の印刷物用の版」を作る作業は大量の印刷物のオーダーがなければ実現できません。詳細に説明していくと長くなるので割愛しますが、「同じ紙種で」「相性の良い印刷物同士」の組み合わせが適切に、かつ常にあるような環境を作らないといけません。

このようなこともあり、「同じ仕様」の「相性の良い印刷物」の組み合わせができるだけ多く発生するように、印刷通販では仕様を限定して受注を受けているところが多いのです。紙の種類が限定されていたり、サイズが限定されていたり、という具合です。

納期が長いほど安くなる価格設定になっているのも、納期が長ければ長いほど「組み合わせやすい」ことが理由となっています。

また、最近はかなり改善されていますが、「同じデータでも色味が発注のたびに違う」というのも「一つの版で複数の印刷物を作っている」ことから発生してしまう現象です。驚かれる方も多いと思いますが、印刷というのは非常に繊細な工程を経ており、印刷する日の気温・湿度・天井の高さなどで容易に色が変わってしまうのです。通常の印刷であれば、職人が「色が変わらないように」機械やインクを調整します。ですが、複数の印刷物を同時に印刷すると、このように「個々の印刷物に合った調整」ができなくなってしまうのです。

ただし、色校のサービスを提供している通販会社もあるので色にこだわられる場合はそちらも検討してみても良いでしょう。

印刷通販会社の選び方

ひとくくりに印刷通販会社といってもどこも同じではありません。それぞれに違いがあり、得意・不得意があります。

また、上述したように各社仕様を絞っていますが、各社ともラインナップが違うので希望の仕様があるかは確認されると良いでしょう。私が印刷通販会社を選ぶ際には下記の3ポイントを考えるようにしています。

①価格

当然でありますが、印刷通販の一番のメリットである価格は大事な要素です。印刷通販各社、印刷物の種類によって価格が違う上、市況に応じて価格を変えているので発注時にはこまめに確認されると良いでしょう。

②得意な印刷物の種類

総合的に様々な印刷物を扱っている会社もあれば、特定の印刷物に特化した会社もあります。一般的なイメージとは異なり、印刷物は繊細な仕事が多いので特化している会社の方が品質が高いことが多いです。

③フォロー体制

印刷通販の場合、データで印刷を入稿することになりますが、正しいデータでないと意図したとおりに印刷することができません。この「印刷するのに正しくデータを作る」というのはプロのデザイナーであってもできない場合が多く、データ入稿後に印刷通販の担当者とやりとりする機会は多いです。このため、丁寧な対応をしてくれるか、十分な知識のある担当者がついてくれるかという点は仕事をスムーズに進める上で重要です。電話やメールのレスポンスが良いかどうかもチェックしておきた方が良いでしょう。

最後に下記に多分に私見でありますが、印刷通販会社をいくつか挙げさせていただくので参考にしていただければ幸いです。

◆総合系

言わずと知れた業界最大手である。価格保証を打ち出しており、最低価格であるものも多い。

こちらは選べる仕様がとにかく多い。入稿データが間違っていた場合もある程度、修正してもらえる。印刷物にこだわりたい方にはお勧めである。

最近TVCMを始めるなど、知名度が上がっている。ここの特長は自社で工場をもたず、提携先の印刷会社の工場の空き時間を利用し生産していることだ。ITベンチャーらしく、サイトのUIが非常にわかりやすく使いやすいと思う。

◆専門系

チラシに特化した印刷会社。B版、D版など新聞折り込みなどを目的としたチラシ印刷の種類が豊富である。

DMに特化した印刷会社。サイト上からテンプレートを選んでデザインができ、発送まで一貫して依頼できる。リストも用意してもらえるので、一貫してできて手間がないというのは非常に重宝する。

他にも多数の印刷通販会社があり、各社特色がありますので、用途に合わせて選んでいただくのが良いでしょう。

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専門家:畠山 和也

ソフトバンク、リクルート、ラクスルにてマーケティング・営業を歴任した後独立。自身が一線の営業として活動するのみならず、顧客のマーケティング・組織まで踏み込んだ施策を実行。メーカー・商社・代理店・小売など30業種以上を担当。顧客規模としても大手から中小まで幅広い経験がある。現在、営業・マーケティングコンサルタントとして6社を担当。成果にコミットしたコンサルテーションに定評がある。

ノマドジャーナル編集部

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